腎于尿管移行部損傷をきたした一例

患者は66才女性。主訴は左腰背部痛。既往歴は特に。自宅にてビール3缶飲酒後、30_cm_ほどの高さの足台から後方に転落して腰を打撲し、当院救急外来受診した。来院時、意識は清明で、体温36.1℃、心拍48回/分、血圧122/70mmHgとバイタルサインに異常は認めず、軽度の嘔気あり、左腰部と左腹部に軽度の圧痛を認めた。3分間ほどの意識消失があったため頭部CTを施行したが、明らかな異常を認めなかった。腰部レントゲン上で第4腰椎に圧迫骨折が認められたが、陳旧性の変化も考えられる所見であった。しかし、軽度腹部圧痛を認めたため念のため腹部造影CTを施行したところ、左腎周囲と腎下部の後腹膜に液体の貯留を認...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 57; p. 262
Main Authors 今井, 宗典, 金井, 信恭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2008
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.57.0.262.0

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Summary:患者は66才女性。主訴は左腰背部痛。既往歴は特に。自宅にてビール3缶飲酒後、30_cm_ほどの高さの足台から後方に転落して腰を打撲し、当院救急外来受診した。来院時、意識は清明で、体温36.1℃、心拍48回/分、血圧122/70mmHgとバイタルサインに異常は認めず、軽度の嘔気あり、左腰部と左腹部に軽度の圧痛を認めた。3分間ほどの意識消失があったため頭部CTを施行したが、明らかな異常を認めなかった。腰部レントゲン上で第4腰椎に圧迫骨折が認められたが、陳旧性の変化も考えられる所見であった。しかし、軽度腹部圧痛を認めたため念のため腹部造影CTを施行したところ、左腎周囲と腎下部の後腹膜に液体の貯留を認めた。腎実質の損傷は認めなかった。また、第4腰椎の左横突起骨折を認めた。そして造影後の腹部レントゲン(KUB)で左腎下部に造影剤の漏出と考えられる像を認めた。左腎ないし左尿管の損傷が疑われたため、泌尿器科オンコールドクターにコンサルトし、左腎于尿管移行部損傷の診断で当院泌尿器科入院となった。翌日尿管ステント挿入術を施行したが、ステントはスムースに左腎于まで挿入された。術後4日の腹部造影CTにて液体貯留像の減少を認め、自覚症状・全身状態改善したため、術後6日退院となった。1ヶ月後に尿管ステントを抜去したが、その後の造影CTにて、造影剤の漏出等を認めなかった。当院救急外来において、比較的軽度な外傷により腎于尿管移行部損傷をきたした一例を経験したのでここに報告する。
Bibliography:2F215
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.57.0.262.0