PEG 造設後下痢症状を呈した透析患者への関わり

〈はじめに〉高齢者社会を迎え,摂食障害・嚥下障害をも つ患者が増加している。現在,経皮内視鏡的胃瘻造設術 (以下PEG)は,長期療養が強いられ食事が何らかの理 由で経口摂取出来ない患者に多く適応されている。今回, 我々が関わった患者は,透析導入後,脳梗塞を併発し,食 事摂取困難となり中心静脈栄養施行後PEG に移行し下痢 やスキントラブルを呈した症例。透析患者は,栄養面での 制限や水分制限もあり管理が大変である。患者への関わり の中で経管栄養剤を半固形化することにより下痢症状,ス キントラブルが改善したので報告する。 〈患者背景〉79歳,男性。2008年5月心不全による胸水の 為入院。その後,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 58; p. 349
Main Authors 後藤, 巨木, 石井, 洋子, 杵淵, 香純, 木村, 恭子, 佐藤, 作喜子, 大野, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2009
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.58.0.349.0

Cover

More Information
Summary:〈はじめに〉高齢者社会を迎え,摂食障害・嚥下障害をも つ患者が増加している。現在,経皮内視鏡的胃瘻造設術 (以下PEG)は,長期療養が強いられ食事が何らかの理 由で経口摂取出来ない患者に多く適応されている。今回, 我々が関わった患者は,透析導入後,脳梗塞を併発し,食 事摂取困難となり中心静脈栄養施行後PEG に移行し下痢 やスキントラブルを呈した症例。透析患者は,栄養面での 制限や水分制限もあり管理が大変である。患者への関わり の中で経管栄養剤を半固形化することにより下痢症状,ス キントラブルが改善したので報告する。 〈患者背景〉79歳,男性。2008年5月心不全による胸水の 為入院。その後,尿量低下,腎機能低下があり透析導入。 透析は週3回,3時間。2008年7月意識レベル低下,右脳 梗塞認めグリセオール開始。2008年8月家族の同意により PEG 造設。 〈PEG 造設後の経過と試み〉造設後,テルミールソフト (1.5kcal/1ml)200g より開始。開始日から水様便がみ られ,内服開始するも効果。その後様子をみながら半 固形栄養剤で水分の少ないメディエフ・繊維の多いマステ ルやミキサーブレンダー食を試みたが水様便は3~5/日 みられ,臀部に発赤が出現。最後にアイソカル2K を蟹 江らの方法で半固形化し試みた。 〈結果〉アイソカル2K 寒天により便は水様性から軟便 へと変化した。回数も1~2/日と減少。臀部の発赤も 徐々に改善。意識レベルにも変化がみられるようになり, お楽しみ程度ではあるが,経口でゼリーやアイスを楽しめ るようになった。 〈考察〉アイソカル2K の使用は,1cc 当たりのエネル ギー量が高く水分が少ない上,たんぱく質の量が透析して いる患者に合っていたと考えられる。また,アイソカル2 K を寒天で半固形化することにより下痢に効果があり, 臀部のスキントラブル改善に繋がった。 〈結語〉現在,PEG 造設後に様々なトラブルが起きるケー スがみられるが,今回のようにトラブルが出現した時点 で,主治医・看護師・コメディカルで関わりを持ち,個々 の患者にあった食事の提供を考え,改善したいと思う。
Bibliography:P1-D419
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.58.0.349.0