LDLコレステロール測定試薬の特異性とリポ蛋白異常の検出

〈はじめに〉LDL コレステロール(以下LDL-C)の増加 は動脈硬化の危険因子として検証されている。測定法は数 社からの自動分析装置で測定可能な原理の異なるホモジニ アス法とFriedewald の計算式(F 式)が多く使用されて いる。今回この原理の違いからIDL が増加するリポ蛋白 異常が発見されることを経験した。 〈対象および方法〉当院において日常的に提出された外 来,病棟,人間ドックで脂質項目の依頼があった検体を対 象とした。測定法はホモジニアス法の積水メディカル社 (A 法),協和メデックス社(B 法)の2社とF 式計算値 (C 法)を用いた。乖離を認めた症例のリポ蛋白精査とし て...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 58; p. 390
Main Authors 小林, 香保里, 池田, 昌伸, 羽毛田, 牧夫, 竹村, 譲, 大橋, 正明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2009
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.58.0.390.0

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Summary:〈はじめに〉LDL コレステロール(以下LDL-C)の増加 は動脈硬化の危険因子として検証されている。測定法は数 社からの自動分析装置で測定可能な原理の異なるホモジニ アス法とFriedewald の計算式(F 式)が多く使用されて いる。今回この原理の違いからIDL が増加するリポ蛋白 異常が発見されることを経験した。 〈対象および方法〉当院において日常的に提出された外 来,病棟,人間ドックで脂質項目の依頼があった検体を対 象とした。測定法はホモジニアス法の積水メディカル社 (A 法),協和メデックス社(B 法)の2社とF 式計算値 (C 法)を用いた。乖離を認めた症例のリポ蛋白精査とし てアガロース電気泳動によるリポ蛋白分画,コレトリコン ボによるコレステロール・中性脂肪同時染色解析,アポリ ポ蛋白E 定量,同フェノタイプを解析した。 〈結果〉日常検査でのデータチェックからA 法<C 法と 乖離があった8例について精査の結果,リポ蛋白分画パ ターンは7例がブロードβ 型,コレトリコンボ結果から もIDL の増加が考えられた。アポリポ蛋白E 定量値は7 例が14mg/dl 以上と異常高値を示した。同フェノタイプは E2/E2 4例,E3/E2 1例,E4/E2 1例,未検 査1例であった。この結果から6例は高脂血症_III_型と考え られた。他の1例はHDL コレステロールが180mg/dl の 高値症例であった。上記検体について原理の異なるB 法 とC 法では乖離を認めなかった。原因としてA 法は狭義 のLDL-C,B 法とC 法は広義のLDL-C+IDL-C を量っ ていると予測された。 〈考察〉日本動脈硬化学会ガイドライン2002年版によれば IDL もLDL 同様動脈硬化惹起性のリポ蛋白とされてお り,双方の測定にはB,C 法が優れているがC 法はカイ ロミクロンの影響を受ける。A 法はC 法との組み合わせ から乖離例を確認,精査することにより,III型高脂血症の スクリーニングが可能である。
Bibliography:P2-B210
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.58.0.390.0