発達性読み書き障害児の漢字熟語書字へのオンライン指導と家庭学習の効果

本研究は、漢字の読み書きに困難のある小学6年生の発達性読み書き障害児1名を対象に、 遠隔形式による漢字の読みと意味、漢字形態の想起を促す書字指導プログラムの効果を検討することを目的とした。また、学習の定着を目指した家庭学習を実施し、学習効果の長期維持を検討した。その結果、漢字書字の正答数の向上と、おおむね介入から2か月後までの学習効果の維持が認められた。社会的妥当性では、学習方法の適合度、母親の負担度、参加児の学習意欲の変化に対し、肯定的な評価が得られた。本研究の成果から、漢字の読字と書字の困難、語彙の低成績を示す子どもには、漢字の書字指導に加え、漢字の読みと意味の指導の有効性が指摘できた。さ...

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Published in特殊教育学研究 Vol. 61; no. 1; pp. 13 - 25
Main Authors 内田, 佳那, 丹治, 敬之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本特殊教育学会 31.05.2023
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ISSN0387-3374
2186-5132
DOI10.6033/tokkyou.22P020

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Summary:本研究は、漢字の読み書きに困難のある小学6年生の発達性読み書き障害児1名を対象に、 遠隔形式による漢字の読みと意味、漢字形態の想起を促す書字指導プログラムの効果を検討することを目的とした。また、学習の定着を目指した家庭学習を実施し、学習効果の長期維持を検討した。その結果、漢字書字の正答数の向上と、おおむね介入から2か月後までの学習効果の維持が認められた。社会的妥当性では、学習方法の適合度、母親の負担度、参加児の学習意欲の変化に対し、肯定的な評価が得られた。本研究の成果から、漢字の読字と書字の困難、語彙の低成績を示す子どもには、漢字の書字指導に加え、漢字の読みと意味の指導の有効性が指摘できた。さらに、学習の定着には、不十分な学習内容の反映、子どもが意欲的に学習に取り組める方法での家庭学習機会の設定が効果的であると考えられた。
ISSN:0387-3374
2186-5132
DOI:10.6033/tokkyou.22P020