日本の慢性腎臓病(CKD)対策はこれでよいか

目的:2006年にCKD対策協議会が40の学会、団体の参加で発足した。これは透析導入前の保存療法を改善し医療費負担軽減を地球規模で進めるという欧米の動きに連同したものである。しかし30年以上に亘り、CKD保存療法に取り組んできた者からみると、果して今の方策で医療費軽減が可能か疑問がある。CKD対策の問題点を検証し、どのようにすべきかを提言する。〈BR〉 方法:1. 現在の「CKD診療ガイド(G)」による診療方法の問題点を挙げる。2. Gで強調されている連携システムの問題点を挙げる。3. CKD対策を実効あるものにするための計画について述べる。〈BR〉 成績:1. Gでは診療に於ける尿についての...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 321
Main Authors 平沢, 博, 椎貝, 富士子, 椎貝, 達夫, 坂東, 梨恵, 熊本, 初美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.321.0

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Summary:目的:2006年にCKD対策協議会が40の学会、団体の参加で発足した。これは透析導入前の保存療法を改善し医療費負担軽減を地球規模で進めるという欧米の動きに連同したものである。しかし30年以上に亘り、CKD保存療法に取り組んできた者からみると、果して今の方策で医療費軽減が可能か疑問がある。CKD対策の問題点を検証し、どのようにすべきかを提言する。〈BR〉 方法:1. 現在の「CKD診療ガイド(G)」による診療方法の問題点を挙げる。2. Gで強調されている連携システムの問題点を挙げる。3. CKD対策を実効あるものにするための計画について述べる。〈BR〉 成績:1. Gでは診療に於ける尿についての情報は外来でのスポット尿からの蛋白/クレアチニン比のみとしている。これは以下の2点からCKD保存療法の実効性を下げる。_丸1_スポット尿法では治療目標に達したかどうかがわからない、_丸2_保存療法では多数の進行因子を調節・治療する必要があり、尿はその為の重要な情報源であるのにそれを利用しないことは、保存療法の治療成績を下げる。2. Gで腎専門医が診療すべきとされるCKD症例は少なくとも200万人と推定されるのに、腎専門医数は3000人以下である。しかも専門医を受診した患者も診療内容に不安・不満を感じ、遠方からも小生のクリニック等を訪れている。〈BR〉 考察・結論:1. 保存療法は「蓄尿あり」でないと十分な好成績は得られない(現在の治療法でも40%以上で進行の「完全停止」が得られる―椎貝クリニック―)。2. 腎専門医1人当りのCKD患者数はハイリスクの100人程度とし、あとはかかりつけ医にお願いする。3. 強化された診療を普及させるには外来診療管理加算などのインセンティブが必要で、国を動かす戦略を考えなければならない。
Bibliography:P2-B4-1
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.321.0