閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置の使用経験

<諸語>近年、日本では食生活の欧米化に伴い肥満者が増加傾向にあり、無呼吸低換気をともなう睡眠障害者は非肥満者の3倍以上であり、そのうちの10%が閉塞性無呼吸症候群(OSAS)と言われています。  今までは、主たる治療法はCPAPでありましたが、2004年の健保改正により歯科の保険に口腔内牽引装置(OA)が導入され効果をあげています。  その原理は、下顎を前方に移動させることにより、付随する筋群を牽引して気道を拡張させるというものです。  製作法も簡単で小型でポケットにも入る大きさなので、患者様のQOL コンプライアンスに優れています。 2004年から2005年中に当院歯科を訪れた患者様にOAを...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 350
Main Author 戸田, 牧子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.350.0

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Summary:<諸語>近年、日本では食生活の欧米化に伴い肥満者が増加傾向にあり、無呼吸低換気をともなう睡眠障害者は非肥満者の3倍以上であり、そのうちの10%が閉塞性無呼吸症候群(OSAS)と言われています。  今までは、主たる治療法はCPAPでありましたが、2004年の健保改正により歯科の保険に口腔内牽引装置(OA)が導入され効果をあげています。  その原理は、下顎を前方に移動させることにより、付随する筋群を牽引して気道を拡張させるというものです。  製作法も簡単で小型でポケットにも入る大きさなので、患者様のQOL コンプライアンスに優れています。 2004年から2005年中に当院歯科を訪れた患者様にOAを装着し、臨床症状の改善が見られた症例を報告致します。  側貌咽頭写真で気道の拡張を認めPSGによる検査でAHIの改善が見られ、SPO2も改善しました。  OAに関し、説明致します。 <OAの適応症例> 1. 肥満度が低い(軽症から中等症)のOSAS 2. 低酸素血症の程度が軽度 3.下顎前方移動距離が長い 4.CPAPが受け入れられない患者様 5.旅行、出張が多い患者様 <OAの不適応症例> 1. 高度肥満 2.肥満肺胞低換気症候群 3.重症のOSAS 4.顕著な低酸素血症を伴う症例 <OAの副作用> 1.口腔粘膜の乾燥 2.顎関節の不快感 3.唾液分泌過多  OSASは社会的、公衆衛生学的問題のみならず、睡眠障害が心血管疾患との密接なかかわりをもっており、重要な問題と思われます。  今後OSASの治療戦略の重要な役割を果たすべきOAのさらなる改善、開発が期待されます。  CPAPを試す前に、是非、歯科を訪れ適応かどうか診査してみられることも必要かと思います。
Bibliography:2G311
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.350.0