当院における血液培養に関する取り組み
〈はじめに〉菌血症・敗血症の診断において、血液培養は重要な検査の一つである。早期に診断することで、患者予後の改善や入院日数の短縮、抗菌薬の不適切な使用の防止にもつながる。しかし、血液培養は手技が不適切であると起炎菌の検出頻度は低くなり、起炎菌以外の菌が混入する原因となる。また、1セットのみの採血では2セット以上採血した場合と比べ起炎菌の検出率は低くなる。そのため、血液培養を有益なものとするためには正しい方法による検体採取が重要となってくる。 〈当院の取り組み〉当院では血液培養の実施率向上と起炎菌の検出向上のため、2003年にガイドラインを作成した。ガイドラインには、血液培養の対象となる患者、検...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 60; p. 421 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2011
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.60.0.421.0 |
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Summary: | 〈はじめに〉菌血症・敗血症の診断において、血液培養は重要な検査の一つである。早期に診断することで、患者予後の改善や入院日数の短縮、抗菌薬の不適切な使用の防止にもつながる。しかし、血液培養は手技が不適切であると起炎菌の検出頻度は低くなり、起炎菌以外の菌が混入する原因となる。また、1セットのみの採血では2セット以上採血した場合と比べ起炎菌の検出率は低くなる。そのため、血液培養を有益なものとするためには正しい方法による検体採取が重要となってくる。 〈当院の取り組み〉当院では血液培養の実施率向上と起炎菌の検出向上のため、2003年にガイドラインを作成した。ガイドラインには、血液培養の対象となる患者、検体採取法などを定めた。対象患者にはあらかじめ医師が血液培養の指示を出しておき、ガイドラインに定めた基準を超えた患者について看護師の判断で採血を行い、後で報告することとした。そして、必ず2セット以上提出とし、複数回採血を徹底した。当初は提出にばらつきがみられたが、看護師への勉強会を行うなどして周知徹底に努めた。 血液培養の実施数は、2003年度では323件、2010年度では560件であった。そのうち2セット以上の提出率は2003年度では12.1%であったのに対し、2010年度には91.4%まで増加した。 〈今後の課題〉現在、休日・夜間の血液培養陽性時には当直の検査技師が主治医・病棟看護師への陽性連絡と平板培地への培養を行い、グラム染色は行っていない。今後は、普段細菌検査に携わっていない技師にも陽性時にはグラム染色を行ってもらい、臨床側へより迅速な報告ができるようにしていきたいと考えている。 |
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Bibliography: | 2J-B-24 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.60.0.421.0 |