三つ這い位時体幹筋活動の筋電図学的分析 徒手筋力検査「Normal」との比較

本研究の主目的は,三つ這い位時の体幹筋活動部位を検討し,さらに三つ這い位時の体幹筋活動量を徒手筋力検査「Normal」(以下:MMT「N」)の筋活動量と比較・検討することである。副目的は,腹筋群のMMT試行時の,各筋の主動作筋としての活動と,補助筋として活動を検討することである。対象者は,健常男子9名とし,被験筋は,体幹右側の7筋とした。上肢挙上側の違いによる活動筋群の変化をみると,腹筋群では,腹斜筋群がほぼ三つ這い位時に体幹に加わる回旋負荷に抗する活動となっていた。一方背筋群では,胸腰移行部付近を境に,頭側では挙上側で,尾側では非挙上側で,より優位に筋活動がみられた。さらに,MMT「N」試行...

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Published in理学療法学 Vol. 30; no. 7; pp. 407 - 414
Main Authors 田中, 太郎, 赤羽, 秀徳, 尾﨑, 心正, 望月, 圭一, 髙橋, 雅人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 20.12.2003
日本理学療法士協会
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00001019845

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Summary:本研究の主目的は,三つ這い位時の体幹筋活動部位を検討し,さらに三つ這い位時の体幹筋活動量を徒手筋力検査「Normal」(以下:MMT「N」)の筋活動量と比較・検討することである。副目的は,腹筋群のMMT試行時の,各筋の主動作筋としての活動と,補助筋として活動を検討することである。対象者は,健常男子9名とし,被験筋は,体幹右側の7筋とした。上肢挙上側の違いによる活動筋群の変化をみると,腹筋群では,腹斜筋群がほぼ三つ這い位時に体幹に加わる回旋負荷に抗する活動となっていた。一方背筋群では,胸腰移行部付近を境に,頭側では挙上側で,尾側では非挙上側で,より優位に筋活動がみられた。さらに,MMT「N」試行時に対する三つ這い位時の筋活動電位の比は,腹筋群では特に腹直筋の筋活動が,外腹斜筋,内服斜筋と比較し低かった。三つ這い位は,腹直筋を強調しないで腰部の安定性を高める運動となり得ることが示された。しかし,MMT比に示された外腹斜筋活動はかなり高い値となっており,腹斜筋に対するMMT手技の信頼性に疑問が生じた。背筋群ではMMT比がおよそ20〜60%の範囲にあり,これは筋持久性運動に必要とされる最大随意収縮の15〜40%の範囲に近似したものであるため,筋力が低下しており,最大筋力がMMT「N」試行時と等しい症例などには,三つ這い位が背筋群の筋持久性向上のための運動として有効となり得ることが示唆された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00001019845