若年性脳梗塞の1例

〈症例〉15歳女性,突然の意識障害,右上下肢の脱力感を 主訴に救急要請,当院救急外来搬送となる。既往歴は特記 すべき事項。家族歴は姉が血小板減少性紫斑病の診断 を受けている。頭部MRI 拡散強調画像にて左中大脳動脈 領域に梗塞を認め,MRA にて同動脈が描出されなかった。 脳梗塞の診断で当院脳神経センター入院となった。 入院時生命徴候:体温37.8℃,血圧124/78mmHg,意識障 害:JCSII―10,GCS E4V1M4,神経学的所見:右不 全麻痺(右上下肢MMT1/5),運動性失語を認め, NIHSS16/42であった。血液生化学検査にてHb9.7g/dl, Plt11.5万/μl,P...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 58; p. 182
Main Authors 五十嵐, 崇浩, 細野, 浩史, 渋谷, 肇, 太田, 隆, 杉谷, 雅人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2009
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.58.0.182.0

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Summary:〈症例〉15歳女性,突然の意識障害,右上下肢の脱力感を 主訴に救急要請,当院救急外来搬送となる。既往歴は特記 すべき事項。家族歴は姉が血小板減少性紫斑病の診断 を受けている。頭部MRI 拡散強調画像にて左中大脳動脈 領域に梗塞を認め,MRA にて同動脈が描出されなかった。 脳梗塞の診断で当院脳神経センター入院となった。 入院時生命徴候:体温37.8℃,血圧124/78mmHg,意識障 害:JCSII―10,GCS E4V1M4,神経学的所見:右不 全麻痺(右上下肢MMT1/5),運動性失語を認め, NIHSS16/42であった。血液生化学検査にてHb9.7g/dl, Plt11.5万/μl,PT-INR1.17,APTT91.5sec であった。 特殊検査にて抗核抗体の上昇,抗ループス抗体の上昇,抗 DNA 抗体の上昇,血清補体価活性の低下を認めた。生理 検査にて心電図,心臓エコー,下肢静脈エコー検査では明 らかな異常所見は認めなかった。以上の検査結果より SLE をともなう抗リン脂質抗体症候群の診断となった。 治療は入院1日目から14日目までフリーラジカルスカベン ジャーの点滴,入院1日目から3日目までヘパリン1万単 位点滴にて加療した。入院1日目より7日目までワーファ リン2mg を内服,入院8日目よりシロスタゾールの内服 とした。加療およびリハビリテーションによりNIHSS16 /42から9/42に改善した。 〈考察〉抗リン脂質抗体症候群は動脈・静脈の両方に血栓 を引き起こし,それに伴い習慣性流産や血小板減少を認め る。治療は抗血小板療法・抗凝固療法・ステロイドなどが あるが,現在のところ脳卒中の二次予防において,抗血小 板療法と抗凝固療法の効果に有意な差はなかったという報 告があり,治療においての明確なEBM は存在しない。 しかし我々は頭蓋内筋性動脈病変では白色血栓であることが 多く,抗血小板薬であるシロスタゾールを選択した。
Bibliography:23-15
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.58.0.182.0