大細胞癌成分にラブドイド形質を伴った肺多形癌の一例
〈はじめに〉肺多形癌は,非小細胞癌の組織像に加えて紡 錘細胞と巨細胞の一方または両者を含む腫瘍,または紡錘 細胞と巨細胞の両者のみからなる腫瘍と定義されている。 原発性肺癌の中ではまれな組織型で,予後不良であるとい われている。 今回我々は,ラブドイド形質を有する大細胞癌成分に紡 錘細胞および巨細胞の両者を伴った肺多形癌の1例を経験 したので報告する。 〈症例〉50歳代男性,痰に血が混じるようになり耳鼻科を 受診するも改善なく1ヵ月後に呼吸器内科を受診。胸部レ ントゲン,CT で左肺S6に30mm 大の結節性病変を認め た。PET では,肺の結節にのみ集積を認めた。気管支鏡 細胞診で低分化型腺...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 58; p. 303 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2009
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
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ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.58.0.303.0 |
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Summary: | 〈はじめに〉肺多形癌は,非小細胞癌の組織像に加えて紡 錘細胞と巨細胞の一方または両者を含む腫瘍,または紡錘 細胞と巨細胞の両者のみからなる腫瘍と定義されている。 原発性肺癌の中ではまれな組織型で,予後不良であるとい われている。 今回我々は,ラブドイド形質を有する大細胞癌成分に紡 錘細胞および巨細胞の両者を伴った肺多形癌の1例を経験 したので報告する。 〈症例〉50歳代男性,痰に血が混じるようになり耳鼻科を 受診するも改善なく1ヵ月後に呼吸器内科を受診。胸部レ ントゲン,CT で左肺S6に30mm 大の結節性病変を認め た。PET では,肺の結節にのみ集積を認めた。気管支鏡 細胞診で低分化型腺癌と診断され,左肺下葉切除およびリ ンパ節郭清が施行された。 〈病理組織像〉左肺S6に3×2.5×1.2cm 辺縁比較的整 で中心に壊死・出血・空洞を伴う黄白色調の腫瘍を認め た。やや好酸性の胞体と明瞭な核小体をもつ異型核を有す る結合性の弱い腫瘍細胞が充実性に増殖し腫瘍の大部分を 形成するが,一部にbizarre な核を有する巨細胞と紡錐形 細胞の成分が混在していた。以上より大細胞癌に巨細胞お よび紡錘細胞癌の成分を伴った肺多形癌と診断した。免 疫組織化学的に大細胞癌細胞はCytokeratin および Vimentin 陽性で,ラブドイド形質を有することが明らか になった。そのほかTTF―1や神経内分泌マーカーは陰性 であった。また高度な脈管侵襲像も観察された。 〈考察および術後臨床経過〉本症例はpStage_I_A であっ たが,術後3か月で消化管多発転移により,消化管穿孔・ 消化管出血を来し死亡した。Mochizuki らの検討(Am J Surg Pathol 23 (11), 2008, pp. 1727)によると,25%以 上のmassive necrosis はハイリスク因子とされている が,本症例は腫瘍占有面積の50%以上がmassive necrosis に陥っており,これは急速な転帰を裏付ける所見であっ た。 |
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Bibliography: | P1-B221 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.58.0.303.0 |