骨シンチにおけるSPECTの有用性

はじめに 当病院では、乳癌の術後に骨シンチを骨転移の早期発見およびその経過観察の目的で施行してきた。しかしながら、従来の骨シンチ全身画像のみでは、異常集積や異常所見は発見できるが、はたしてそれが、骨転移によるものかどうかの鑑別診断ができなかった。特に骨シンチの異常集積のすべてが骨転移ではないので、今回、新しいRI装置を導入し、SPECTが容易にできる装置になったため、従来の全身画像のみでは、鑑別診断が困難であったものが、SPECT導入により異常集積の有無を単に指摘するだけではなくその病巣部の鑑別診断ができるようになったため、その可能性について検討し、骨SPECTの有用性についていくつかの知見を...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 105
Main Author 柳原, 利行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.105.0

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Summary:はじめに 当病院では、乳癌の術後に骨シンチを骨転移の早期発見およびその経過観察の目的で施行してきた。しかしながら、従来の骨シンチ全身画像のみでは、異常集積や異常所見は発見できるが、はたしてそれが、骨転移によるものかどうかの鑑別診断ができなかった。特に骨シンチの異常集積のすべてが骨転移ではないので、今回、新しいRI装置を導入し、SPECTが容易にできる装置になったため、従来の全身画像のみでは、鑑別診断が困難であったものが、SPECT導入により異常集積の有無を単に指摘するだけではなくその病巣部の鑑別診断ができるようになったため、その可能性について検討し、骨SPECTの有用性についていくつかの知見を得たので報告します。     対象および方法 対象症例は、乳癌術後の一ヶ月後より二十年後までの経過観察中の患者様、50例。 最終診断は、骨生検および骨単純X線検査、CT検査、MRI検査所見と臨床経過によりなされた。 方法は,99mTc-HMDP(クリアボーン)740mBqを静注し2.5~3時間後にlnfinia Hawkeye4(GE社製)にて全身骨シンチを撮像し、異常集積の所見を確認後直ちに骨SPECTを施行した。 骨SPECT、Transaxial像の集積分布から各疾患における集積分布パターンを分類し、骨SPECTの有用性を検討した。 結果 SPECT検査は、全身骨シンチに比べて、病巣前後の隠された病巣部分がSPECTで分離され描出される。 したがって、SPECTでは従来の前後方向の全身骨シンチのみに比べ、異常、もしくは疑いをさらに解剖学的に明らかにし、Transaxial像では、椎体、肋骨などの異常集積が骨転移によるものか、脊椎症、骨折などによるものかの鑑別診断が、転移した癌細胞による骨破壊は骨髄から始まるので骨の中心部に存在し骨膜や骨皮質には少ない。対称的な位置に癌細胞の骨破壊の起こる確率は少ないので非対称的である。などの特徴的所見によりある程度診断が可能になったと考えられます。
Bibliography:1F108
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.105.0