変成~弱変成付加体におけるビトリナイトの反射率と光学異方性:四国東部の三波川変成帯-北部秩父帯を例として

徳島県神山町西部の三波川変成帯(緑泥石帯)および北部秩父帯の泥質岩に含まれる石炭化植物片の一種であるビトリナイトの反射率を検討した.測定にあたってはみかけの最大反射率とみかけの最小反射率を測定した.測定結果は,対象としたビトリナイトが光学的に二軸性であることを示唆している.最大反射率(Rmax),中間反射率(Rint),最小反射率(Rmin)の近似値を求めた.最大反射率は北部秩父帯においては北部(構造的下位)に向かって増大する傾向を示すが,三波川帯では定向的な変化傾向を示さない.また,最大反射率の平均値は,三波川帯よりも北部秩父帯の方が高い.最大反射率と最小反射率に対する扁平率((Rmax-R...

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Published in地質学雑誌 Vol. 113; no. 10; pp. 532 - 541
Main Authors 杉浦, 由希子, 宮本, 真理子, 君波, 和雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 2007
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.113.532

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Summary:徳島県神山町西部の三波川変成帯(緑泥石帯)および北部秩父帯の泥質岩に含まれる石炭化植物片の一種であるビトリナイトの反射率を検討した.測定にあたってはみかけの最大反射率とみかけの最小反射率を測定した.測定結果は,対象としたビトリナイトが光学的に二軸性であることを示唆している.最大反射率(Rmax),中間反射率(Rint),最小反射率(Rmin)の近似値を求めた.最大反射率は北部秩父帯においては北部(構造的下位)に向かって増大する傾向を示すが,三波川帯では定向的な変化傾向を示さない.また,最大反射率の平均値は,三波川帯よりも北部秩父帯の方が高い.最大反射率と最小反射率に対する扁平率((Rmax-Rmin)/Rmax)は,北部秩父帯と三波川帯において,基本的に構造的下位に向かって増大する.これは,埋没深度もしくは付加深度の増大に起因する可能性がある.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.113.532