鼓室に進展した頭蓋底腫瘍の稀な2症例

原発性頭蓋底腫瘍が鼓室内に進展した稀な2症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例1は55歳女性.約30年前より左難聴を自覚していたが放置していた.左癒着性中耳炎を近医で指摘されて受診した.左鼓室内に腫瘤が透見され,生検を目的に試験的鼓室開放術を施行した.切除腫瘍の病理診断は髄膜腫であった.左難聴以外の症状,所見がなく脳神経外科で経過観察としている.症例2は46歳女性.左難聴を自覚し,近医で滲出性中耳炎の診断のもとで加療したが改善せず,当科を受診した.左鼓膜換気チューブ留置術を施行したが,左伝音難聴は改善しなかった.画像検査で,左頭蓋底腫瘤を認めた.脳神経外科で腫瘍塞栓術及び,開...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 84; no. 1; pp. 48 - 55
Main Authors 平野, 康次郎, 松本, 政輝, 石塚, 久美子, 溝上, 雄大, 竹内, 美緒, 小林, 一女, 木勢, 彩香, 油井, 健史, 清水, 克悦, 嶋根, 俊和, 洲崎, 勲夫, 浜崎, 泰佑, 新井, 晋太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2024
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.84.48

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Summary:原発性頭蓋底腫瘍が鼓室内に進展した稀な2症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例1は55歳女性.約30年前より左難聴を自覚していたが放置していた.左癒着性中耳炎を近医で指摘されて受診した.左鼓室内に腫瘤が透見され,生検を目的に試験的鼓室開放術を施行した.切除腫瘍の病理診断は髄膜腫であった.左難聴以外の症状,所見がなく脳神経外科で経過観察としている.症例2は46歳女性.左難聴を自覚し,近医で滲出性中耳炎の診断のもとで加療したが改善せず,当科を受診した.左鼓膜換気チューブ留置術を施行したが,左伝音難聴は改善しなかった.画像検査で,左頭蓋底腫瘤を認めた.脳神経外科で腫瘍塞栓術及び,開頭による腫瘍摘出術を施行した.摘出腫瘍の病理診断は骨巨細胞腫であった.術後の左聴力は術前と著変なく,難聴は残存した.明らかな合併症はなく,経過観察中である.2例とも難聴を主訴とし,診断には画像検査が有用であり,脳神経外科医との連携が大切であった.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.84.48