寝たきり状態の高齢者に認めた消化器ハエ症の1例

症例は75歳男性.既往歴は2型糖尿病,膿胸術後など.慢性肺疾患による活動性低下で体動困難となり当院救急搬送され脱水症で入院となった.入院後2日間においてオムツ内に数匹の虫体が確認された.検査結果はハエの幼虫であり,消化器ハエ症と診断した.ハエの幼虫が確認できなくなった後で発熱あり,二次感染と考え抗菌薬投与を行い改善した.後日家族が自宅の掃除を行ったが,ハエやハエの幼虫は発見できず感染経路やハエ種は明らかにならなかった.ハエ症は衛生状態が良好になるにつれ報告数が減少したといわれるが,近年は高齢者の報告が目立つ.ハエ症そのものは重篤な経過をたどる疾患ではないといわれるが,高齢化社会においては鑑別を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 80 - 83
Main Authors 小原, 啓子, 三木, 徹, 岡崎, 恭次, 小野, 拓哉, 高橋, 彩, 小川, 薫, 藤木, 和彦, 住吉, 立
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.01.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.61.80

Cover

More Information
Summary:症例は75歳男性.既往歴は2型糖尿病,膿胸術後など.慢性肺疾患による活動性低下で体動困難となり当院救急搬送され脱水症で入院となった.入院後2日間においてオムツ内に数匹の虫体が確認された.検査結果はハエの幼虫であり,消化器ハエ症と診断した.ハエの幼虫が確認できなくなった後で発熱あり,二次感染と考え抗菌薬投与を行い改善した.後日家族が自宅の掃除を行ったが,ハエやハエの幼虫は発見できず感染経路やハエ種は明らかにならなかった.ハエ症は衛生状態が良好になるにつれ報告数が減少したといわれるが,近年は高齢者の報告が目立つ.ハエ症そのものは重篤な経過をたどる疾患ではないといわれるが,高齢化社会においては鑑別を考慮すべき疾患であると考え,考察を加えて報告する.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.61.80