認知症,心不全にて発見された超高齢者のA型胃炎合併悪性貧血の1例

超高齢者のA型胃炎合併悪性貧血の一例を報告する.症例は90歳の女性.食欲低下·活動性低下·認知症の増悪にて紹介入院となった.入院時血液検査にて白血球2,900 /mm3·血小板1.5万 /mm3·Hb 5.6 g/dl·MCV139.7 μm3と,著明な汎血球減少と大球性貧血を認めた.悪性貧血を疑いビタミンB12の投与を開始したところ,血液検査は改善し,全身状態も改善した.上部内視鏡にてA型胃炎を認め,抗内因子抗体,抗胃壁細胞抗体陽性より,悪性貧血と診断した.悪性貧血は比較的高齢者に多い自己免疫疾患であるが,好発年齢は50∼60歳台といわれている.高齢化社会がすすむなかで,超高齢者の数も増加し...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 45; no. 3; pp. 335 - 337
Main Authors 黒田, 祥二, 森田, 須美春
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2008
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.45.335

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Summary:超高齢者のA型胃炎合併悪性貧血の一例を報告する.症例は90歳の女性.食欲低下·活動性低下·認知症の増悪にて紹介入院となった.入院時血液検査にて白血球2,900 /mm3·血小板1.5万 /mm3·Hb 5.6 g/dl·MCV139.7 μm3と,著明な汎血球減少と大球性貧血を認めた.悪性貧血を疑いビタミンB12の投与を開始したところ,血液検査は改善し,全身状態も改善した.上部内視鏡にてA型胃炎を認め,抗内因子抗体,抗胃壁細胞抗体陽性より,悪性貧血と診断した.悪性貧血は比較的高齢者に多い自己免疫疾患であるが,好発年齢は50∼60歳台といわれている.高齢化社会がすすむなかで,超高齢者の数も増加している.高齢者の貧血はしばしばみられるが,悪性貧血は容易に治療できる疾患であるため注意が必要と考え報告した.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.45.335