顎関節症との鑑別に苦慮した歯性感染症から顎関節領域の化膿性炎にいたった1例

今回われわれは,歯周炎から顎関節領域の化膿性炎にいたった症例で,顎関節症との鑑別に苦慮した1例を経験したので報告する。65歳の男性が右側顎関節周囲の運動時鈍痛と初診日の前日に突然に出現した開口障害を訴えて当科を受診した。患者は20日前に,6●の歯肉膿瘍を加療されていた。顎関節症の診断の下,薬物療法が施行されたが,痛みと開口制限は増強した。その後のMRI検査のT2強調像で,顎関節周囲の咀嚼筋が高信号を呈し,右側上関節腔にjoint effusion像が確認され,歯周炎に起因する顎関節およびその近傍の化膿性炎と最終診断した。抗菌薬ABPCを9日間投与し,その後の開口訓練を行った結果,症状は改善した...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 23; no. 3; pp. 161 - 165
Main Authors 永田, 順子, 迫田, 隅男, 鹿嶋, 光司, 井川, 加織, 高森, 晃一, 吉岡, 泉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2011
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.23.161

Cover

More Information
Summary:今回われわれは,歯周炎から顎関節領域の化膿性炎にいたった症例で,顎関節症との鑑別に苦慮した1例を経験したので報告する。65歳の男性が右側顎関節周囲の運動時鈍痛と初診日の前日に突然に出現した開口障害を訴えて当科を受診した。患者は20日前に,6●の歯肉膿瘍を加療されていた。顎関節症の診断の下,薬物療法が施行されたが,痛みと開口制限は増強した。その後のMRI検査のT2強調像で,顎関節周囲の咀嚼筋が高信号を呈し,右側上関節腔にjoint effusion像が確認され,歯周炎に起因する顎関節およびその近傍の化膿性炎と最終診断した。抗菌薬ABPCを9日間投与し,その後の開口訓練を行った結果,症状は改善した。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.23.161