大腸癌手術における術後感染症は長期予後へ影響するか

大腸癌術後感染症は,予後不良因子となることが報告されているが,いまだ結論を得ていない。pStage Ⅱ/Ⅲ大腸癌手術 638例を対象として,術後感染症の無再発生存への影響を検討した。術後感染症全体,縫合不全の発生率はそれぞれ13.6%,7.2%であった。術後感染症全体,切開創SSI,遠隔感染の有無では,両群間に有意差を認めず,縫合不全を認めた症例では非発症例に比べ,有意に予後不良であった。多変量解析では,縫合不全はpT4,pStage Ⅲとともに独立した予後不良因子であった。結腸癌,直腸癌に分けて検討したところ,直腸癌でのみ縫合不全は予後不良因子であった。pStage Ⅲ症例において,術後補助...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 21; no. 2-3; pp. 338 - 343
Main Authors 高橋, 吾郎, 園田, 寛道, 横山, 康行, 松田, 明久, 進士, 誠一, 栗山, 翔, 岩井, 拓磨, 吉田, 寛, 宮坂, 俊光, 丸山, 弘, 太田, 竜, 上原, 圭, 香中, 伸太郎, 武田, 幸樹, 山田, 岳史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 22.02.2025
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.21.2-3_338

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Summary:大腸癌術後感染症は,予後不良因子となることが報告されているが,いまだ結論を得ていない。pStage Ⅱ/Ⅲ大腸癌手術 638例を対象として,術後感染症の無再発生存への影響を検討した。術後感染症全体,縫合不全の発生率はそれぞれ13.6%,7.2%であった。術後感染症全体,切開創SSI,遠隔感染の有無では,両群間に有意差を認めず,縫合不全を認めた症例では非発症例に比べ,有意に予後不良であった。多変量解析では,縫合不全はpT4,pStage Ⅲとともに独立した予後不良因子であった。結腸癌,直腸癌に分けて検討したところ,直腸癌でのみ縫合不全は予後不良因子であった。pStage Ⅲ症例において,術後補助化学療法導入率は,縫合不全例で有意に低下していた(36.4% vs. 70.3%)。大腸癌手術の予後向上には,さらなる縫合不全の予防とともに術後補助化学療法の至適化が重要である。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.21.2-3_338