超高齢者における顎関節症症状とオーラルフレイル・フレイルとの関連

目的:口腔機能の低下が低栄養を介して全身へ影響を及ぼすことが知られている。一方,顎関節症症状により口腔機能が低下した場合,同様の影響が生じる可能性が考えられるが十分解明されていない。そこで本研究は,顎関節症症状と口腔機能低下や全身との関連を解明することを目的とした。方法:2019年から2021年に岡山県・徳島県・広島県の高齢者施設に入所中の高齢者を対象に質問票調査を行った。対象は文書による同意が得られた高齢者145名(平均年齢87.1±7.7歳)とし,顎関節症症状(DC/TMD質問票),フレイル/オーラルフレイル(厚生労働省基本チェックリスト),咀嚼能力(平井式摂取可能食品アンケート)および体...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 35; no. 3; pp. 144 - 152
Main Authors 吉田, 光由, 吉川, 峰加, 三木, 春奈, 西山, 暁, 津賀, 一弘, 平岡, 綾, 小山, 響央, 松香, 芳三, 水口, 一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.12.2023
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.35.144

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Summary:目的:口腔機能の低下が低栄養を介して全身へ影響を及ぼすことが知られている。一方,顎関節症症状により口腔機能が低下した場合,同様の影響が生じる可能性が考えられるが十分解明されていない。そこで本研究は,顎関節症症状と口腔機能低下や全身との関連を解明することを目的とした。方法:2019年から2021年に岡山県・徳島県・広島県の高齢者施設に入所中の高齢者を対象に質問票調査を行った。対象は文書による同意が得られた高齢者145名(平均年齢87.1±7.7歳)とし,顎関節症症状(DC/TMD質問票),フレイル/オーラルフレイル(厚生労働省基本チェックリスト),咀嚼能力(平井式摂取可能食品アンケート)および体重の変化を回答させた。高齢者を顎関節症症状あり群と顎関節症症状群に分け,フレイル/オーラルフレイル,BMI,咀嚼スコア,体重減少との関連について検討を行った。結果・考察:顎関節症症状あり群の咀嚼スコアが有意に高かった(p=0.01,t-test)が,他の因子との有意な関連はなかった。顎関節症症状を細分化したところ,体重減少と開口困難に有意な関連が認められた(p=0.02,Fisher's exact test)。しかし本研究には多くのlimitationが含まれており,高齢者における顎関節症症状と全身状態との関連について,フレイルや体重減少を含めたさらなる検討が必要と考えられた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.35.144