高齢糖尿病患者におけるカヘキシアの頻度及びその関連因子の検討
目的:高齢糖尿病患者におけるカヘキシアの頻度,及びその関連因子を検討すること.方法:対象は伊勢赤十字病院糖尿病外来通院中の65歳以上の糖尿病患者とした.カヘキシアの評価はBody mass index<20 kg/m2を必須とし,(1)筋力低下,(2)倦怠感,(3)食欲不振,(4)除脂肪量低下,(5)生化学的異常の内,3つ以上を有する場合とした.従属変数をカヘキシア,説明変数を各種変数(基本属性,血糖関連パラメーター,合併症,治療内容)としたロジスティック回帰分析を用いて,カヘキシアの関連因子を同定することとした.結果:404例(男性233例,女性171例)が本研究の解析対象となった.カヘキシ...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 60; no. 1; pp. 51 - 59 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.01.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.60.51 |
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Summary: | 目的:高齢糖尿病患者におけるカヘキシアの頻度,及びその関連因子を検討すること.方法:対象は伊勢赤十字病院糖尿病外来通院中の65歳以上の糖尿病患者とした.カヘキシアの評価はBody mass index<20 kg/m2を必須とし,(1)筋力低下,(2)倦怠感,(3)食欲不振,(4)除脂肪量低下,(5)生化学的異常の内,3つ以上を有する場合とした.従属変数をカヘキシア,説明変数を各種変数(基本属性,血糖関連パラメーター,合併症,治療内容)としたロジスティック回帰分析を用いて,カヘキシアの関連因子を同定することとした.結果:404例(男性233例,女性171例)が本研究の解析対象となった.カヘキシア該当者は男女それぞれ22人(9.4%),22人(12.8%)であった.ロジスティック回帰分析の結果,男性ではHbA1c(Odds ratio(OR),0.26,95% confidence interval(CI),0.08 to 0.81;P=0.021),及び認知・生活機能低下(OR,11.81,95% CI,1.81 to 76.95;P=0.010)がカヘキシア関連因子であった.女性では1型糖尿病(OR,12.39,95% CI,2.33 to 65.87;P=0.003),HbA1c(OR,1.71,95% CI,1.07 to 2.74;P=0.024),及びインスリン(OR,0.14,95% CI,0.02 to 0.71;P=0.018)がカヘキシア関連因子であった.結論:高齢糖尿病患者におけるカヘキシアの頻度,及びその関連因子が明らかとなった.高齢糖尿病患者において血糖管理不良,認知・生活機能低下,1型糖尿病,及びインスリン不使用の際,カヘキシアへの注意喚起が重要と考えられた. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.60.51 |