顎関節症の診療ガイドライン作成における“Patient Question”収集のための患者ボランティアに対する個別面接調査

顎関節症に対する初期治療ガイドライン作成における,Patient Question(PQ)収集を目的として,症状経験ボランティア患者への個別面接調査を実施した。対象者(以下インフォーマントと呼ぶ)を新聞紙上で募集した。19名の応募者の内10名(女性9名,男性1名)を委員会において検討したうえでインフォーマントと選定した。この10名に対する個別面接調査は,専用施設を用いて半構造化面接の手法に従って行った。質問に対する回答は録音したうえでテキスト化し,テキストマイニングの手法によってデータ化し集計した。 顎関節症への病識としては「あごがずれる病気」,「歯のかみ合わせが悪いと起こる病気」という回答が...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 22; no. 3; pp. 151 - 157
Main Authors 木野, 孔司, 杉崎, 正志, 覚道, 健治, 湯浅, 秀道, 齋藤, 高, 西山, 暁, 松香, 芳三, 星, 佳芳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2010
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.22.151

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Summary:顎関節症に対する初期治療ガイドライン作成における,Patient Question(PQ)収集を目的として,症状経験ボランティア患者への個別面接調査を実施した。対象者(以下インフォーマントと呼ぶ)を新聞紙上で募集した。19名の応募者の内10名(女性9名,男性1名)を委員会において検討したうえでインフォーマントと選定した。この10名に対する個別面接調査は,専用施設を用いて半構造化面接の手法に従って行った。質問に対する回答は録音したうえでテキスト化し,テキストマイニングの手法によってデータ化し集計した。 顎関節症への病識としては「あごがずれる病気」,「歯のかみ合わせが悪いと起こる病気」という回答がともに4例と最も多かった。しかしそのような疾患説明を受けた患者は1例のみであった。受けた治療はマウスピースが3例で最も多かったが,その治療の必要性,実施理由の説明を受けたインフォーマントはいなかった。治療に対する満足は6名が表明したが,不満との回答も2例みられた。PQの構成においては雑音,開口障害,疼痛に対して,提示した治療法では開口練習,マッサージ,湿布が最も多く,安静,整体,マウスピースが続いた。 この面接調査により,インフォーマントがもつ病態や治療法に対する知識は全般的に少ないことが明らかになった。この原因として歯科担当医による病態や治療の説明がほとんどなされていないことが考えられた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.22.151