若年性脳内出血を契機に診断された内分泌性高血圧の1例

若年性脳内出血を契機に診断された内分泌性高血圧の一例長嶋一樹(ながしまかずき)田戸雅宏、石原隆太郎、梅沢武彦、渋谷肇 、杉谷雅人相模原協同病院相模原協同病院 脳神経外科キーワード:若年性脳卒中・内分泌性高血圧【背景】若年性脳卒中の全脳卒中に占める割合は2.2%と報告されており、その頻度は決して多いとは言えない。その成因として脳動静脈奇形・もやもや病・凝固異常・白血病等が挙げられるが、約80%は高血圧性であると言われている。その中でも内分泌性高血圧は、頻度的には少ないものの的確な診断と治療により治癒が可能であり、臨床的に重要な病態だと言える。今回我々は内分泌性高血圧が一因と考えられた若年性脳卒中...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 70
Main Authors 石原, 隆太郎, 梅沢, 武彦, 渋谷, 肇, 長嶋, 一樹, 田戸, 雅宏, 杉谷, 雅人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.70.0

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Summary:若年性脳内出血を契機に診断された内分泌性高血圧の一例長嶋一樹(ながしまかずき)田戸雅宏、石原隆太郎、梅沢武彦、渋谷肇 、杉谷雅人相模原協同病院相模原協同病院 脳神経外科キーワード:若年性脳卒中・内分泌性高血圧【背景】若年性脳卒中の全脳卒中に占める割合は2.2%と報告されており、その頻度は決して多いとは言えない。その成因として脳動静脈奇形・もやもや病・凝固異常・白血病等が挙げられるが、約80%は高血圧性であると言われている。その中でも内分泌性高血圧は、頻度的には少ないものの的確な診断と治療により治癒が可能であり、臨床的に重要な病態だと言える。今回我々は内分泌性高血圧が一因と考えられた若年性脳卒中の症例を経験したため、その病態につき若干の文献的考察を加え報告する。【症例】生来健康な34歳女性。仕事中に突然左上下肢脱力としびれ感を自覚し、第二病日に当院救急外来を受診した。頭部CT上右被殻出血(約18cc)を認めたため、加療目的に入院となった。【経過】入院後、降圧剤と止血剤による保存的治療を開始した。出血の拡大は認められず、自覚症状は改善、神経学的にも経過良好であった。しかし入院時より低K血症(2.5mEq/l)、治療抵抗性の高血圧を認めたため、内分泌性高血圧を疑いスクリーニング検査を行った。ホルモン基礎値はACTH:31.1pg/ml、血中コルチゾール: 18.7μg/dl、レニン活性:0.3ng/ml、血中アルドステロン:649pg/mlであり、腹部CT上左副腎に径24mmの腫瘍を認めたため、機能性副腎腫瘍疑いにて代謝内分泌内科にコンサルテーションとなった。【考察】本症例では脳卒中発症前の診断は困難であったが、若年性脳内出血の患者を診察する際、低K血症合併例・治療抵抗性高血圧・副腎偶発腫瘍合併例・若年性の臓器障害合併が疑われる症例に対しては積極的に内分泌性高血圧を疑いスクリーニングを行う必要があると考えられた。
Bibliography:R-21
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.70.0