全身性エリテマトーデス小児男児例の臨床的検討 女児例との比較

小児期に発症したSLE男児例を女児例と比較して疫学的臨床的検討を行った。対象は,1975年から1998年までの24年間に当科で経験した15歳以下のSLE患児23症例で,これら患児を男児群 (n=6) と女児群 (n=17) に分け,臨床所見,検査成績と予後について比較した。男児群では発症時,全例に蛋白尿と5例に血尿を有したが,ネフローゼ症候群を伴う症例は少なく,さらに中枢性病変や心肺病変,HUS,高リン脂質症候群など腎外症状をきたす症例はなかった。腎生検所見は,WHO分類でIV型3例,III型1例,I型1例であった。5例にステロイド剤と免疫抑制剤が投与されたが,治療反応性は良好で,最終観察時に...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 15; no. 1; pp. 23 - 27
Main Authors 川崎, 幸彦, 永井, 真紀, 野沢, ルリ子, 鈴木, 仁, 鈴木, 順造, 酒井, 信子, 星野, 玲子, 鈴木, 重雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 30.04.2002
日本小児腎臓病学会
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.15.23

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Summary:小児期に発症したSLE男児例を女児例と比較して疫学的臨床的検討を行った。対象は,1975年から1998年までの24年間に当科で経験した15歳以下のSLE患児23症例で,これら患児を男児群 (n=6) と女児群 (n=17) に分け,臨床所見,検査成績と予後について比較した。男児群では発症時,全例に蛋白尿と5例に血尿を有したが,ネフローゼ症候群を伴う症例は少なく,さらに中枢性病変や心肺病変,HUS,高リン脂質症候群など腎外症状をきたす症例はなかった。腎生検所見は,WHO分類でIV型3例,III型1例,I型1例であった。5例にステロイド剤と免疫抑制剤が投与されたが,治療反応性は良好で,最終観察時においても2例に軽度の蛋白尿がみられたものの腎機能低下例や腎死例はなかった。短期間の経過観察ではあるが,自験例におけるSLE男児例は現在のところ全例治療反応性で,腎の予後は良好であると思われた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.15.23