嚢胞内出血を来たしVatter乳頭からの出血として発症した慢性膵炎の1例

要旨: 症例は66歳男性.以前より慢性膵炎と膵頭部に発生した仮性膵嚢胞にて当院内科に通院していた。平成20年1月,上腹部痛と吐血にて来院,腹部CTにて膵頭部に約8cmの嚢胞性病変を認め,当院入院となった。入院時胃カメラにて異常なく、ERCPにて膵管と膵頭部の嚢胞との交通が認められ、また発症直後の腹部CTにて嚢胞内に高濃度陰影を認めたため、Vatter乳頭から出血した出血性膵嚢胞と診断し手術を勧めるも拒否され退院となった。平成21年8月6日に再び吐血し救急車にて当院に搬入される。胃カメラにて異常認めずも腹部CTにて膵嚢胞内に高濃度陰影を認めたため、8月27日に膵頭十二指腸切除術を施行した。膵頭部...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 87
Main Authors 熊沢, 伊和生, 福田, 賢也, 立花, 進, 土屋, 十次, 小森, 充嗣, 八幡, 和憲, 西尾, 公利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.87.0

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Summary:要旨: 症例は66歳男性.以前より慢性膵炎と膵頭部に発生した仮性膵嚢胞にて当院内科に通院していた。平成20年1月,上腹部痛と吐血にて来院,腹部CTにて膵頭部に約8cmの嚢胞性病変を認め,当院入院となった。入院時胃カメラにて異常なく、ERCPにて膵管と膵頭部の嚢胞との交通が認められ、また発症直後の腹部CTにて嚢胞内に高濃度陰影を認めたため、Vatter乳頭から出血した出血性膵嚢胞と診断し手術を勧めるも拒否され退院となった。平成21年8月6日に再び吐血し救急車にて当院に搬入される。胃カメラにて異常認めずも腹部CTにて膵嚢胞内に高濃度陰影を認めたため、8月27日に膵頭十二指腸切除術を施行した。膵頭部嚢胞は8×7cmで内部には結石を伴う血腫が認められた。術後経過は良好で第40病日に退院となった。嚢胞内出血を伴う仮性膵嚢胞は手術適応となりうるが、Vatter乳頭からの出血として発症することはまれであり、若干の文献的考察を加えて報告する。
Bibliography:P1-A2-3
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.87.0