重度の白血球低下を伴った亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)の2症例

症例1は、24歳男性。H21年10/20より、38℃前後の発熱が続き、近医での内服治療にても改善しないとのことで、10/27に当院来院された。初診時、38℃の発熱、有痛性、弾性軟の頚部リンパ節の多発性腫大を認めた。血液検査上、WBC1300/μlまでの低下に加え、LDH326 IU/Lと高値、CRP0.3mg/dlであった。CT上、頚部・腋窩のリンパ節腫大、肝脾腫を認めた。入院後、種々の抗生剤点滴に加え、G-CSF注を行ったが、WBCの改善はみられるも、解熱せず、頚部リンパ節の腫大は持続し、肝脾腫の悪化を認め、さらに、体幹・下肢に発赤疹を認めるようになった。亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)の可...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 60; p. 39
Main Authors 大河内, 昌弘, 森川, 恵輔, 郷治, 滋希, 大野, 恒夫, 神谷, 泰隆, 後藤, 章友, 勝野, 哲也, 浅田, 馨, 岩間, 糾, 服部, 孝平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2011
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.60.0.39.0

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Summary:症例1は、24歳男性。H21年10/20より、38℃前後の発熱が続き、近医での内服治療にても改善しないとのことで、10/27に当院来院された。初診時、38℃の発熱、有痛性、弾性軟の頚部リンパ節の多発性腫大を認めた。血液検査上、WBC1300/μlまでの低下に加え、LDH326 IU/Lと高値、CRP0.3mg/dlであった。CT上、頚部・腋窩のリンパ節腫大、肝脾腫を認めた。入院後、種々の抗生剤点滴に加え、G-CSF注を行ったが、WBCの改善はみられるも、解熱せず、頚部リンパ節の腫大は持続し、肝脾腫の悪化を認め、さらに、体幹・下肢に発赤疹を認めるようになった。亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)の可能性を考え、NSAIDSを使用したところ、次第に解熱、頚部リンパ節および肝脾腫の消失、血液データの正常化が得られた。骨髄検査では、血球貪食症候群は否定的であり、リンパ節生検では、変性像が見られ、大型化リンパ球、核崩壊産物を貪食するマクロファージの増殖が見られる壊死性リンパ節炎に合致する所見であった。症例2は、39歳女性。H22年11/21より、39℃前後の発熱が続き、近医での内服治療にても改善しないとのことで、11/27に当院来院された。初診時、39.3℃の発熱、有痛性、弾性軟の左頚部リンパ節腫大を認めた。血液検査上、WBC1700/μlまでの低下に加え、LDH391 IU/Lと高値、CRP1.3mg/dlであった。CT上、頚部のリンパ節腫大、脾腫を認めた。G-CSF注に加え、NSAIDSを使用したところ、順調に解熱、頚部リンパ節および脾腫の消失、血液データの正常化が得られた。骨髄検査では、血球貪食症候群は否定的であった。ヒトヘルペスウィルス6型IgGが強陽性であった。近年、伝染性単核球症と類似した症状で発症する菊池病が報告されているが、まだ認知度は低い。その鑑別疾患として、生死にかかわる白血病、悪性リンパ腫、血球貪食症候群があり、当疾患の臨床的な特徴、治療法、鑑別方法を知ることは、重要であると考えられた。
Bibliography:RKS1-4
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.60.0.39.0