急性胆嚢炎に対して内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ(ENGBD)を試みた12例の検討

急性胆嚢炎に対する診療ガイドラインは、早期の胆嚢摘出術を推奨しているが、重篤な全身状態などによる手術の高リスク群にはまず胆嚢ドレナージ術を行うのが望ましいとしている。持続的胆嚢ドレナージには、経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)と内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ(ENGBD)があるが、多くの施設ではPTGBDが選択されている。しかし、PTGBDにはチューブの逸脱や瘻孔完成まで抜去できないという問題がある他、抗凝固・抗血小板剤を服用中又は出血傾向を有する患者、大量腹水の患者には禁忌となる。それに対してENGBDは、PTGBDにおける問題点を考慮する必要がなく、効果的で安全な手技であるとも報告されている...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 86
Main Authors 前田, 晃男, 西脇, 伸二, 林, 隆夫, 岩下, 雅秀, 林, 基志, 高田, 淳, 田上, 真, 齋藤, 公志郎, 浅野, 貴彦, 畠山, 啓朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.86.0

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Summary:急性胆嚢炎に対する診療ガイドラインは、早期の胆嚢摘出術を推奨しているが、重篤な全身状態などによる手術の高リスク群にはまず胆嚢ドレナージ術を行うのが望ましいとしている。持続的胆嚢ドレナージには、経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)と内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ(ENGBD)があるが、多くの施設ではPTGBDが選択されている。しかし、PTGBDにはチューブの逸脱や瘻孔完成まで抜去できないという問題がある他、抗凝固・抗血小板剤を服用中又は出血傾向を有する患者、大量腹水の患者には禁忌となる。それに対してENGBDは、PTGBDにおける問題点を考慮する必要がなく、効果的で安全な手技であるとも報告されている。我々は2007年8月から2010年3月までに12例の急性胆嚢炎に対しENGBDを試みた。平均年齢は69.4歳(42-89歳)。診断は胆石性胆嚢炎が7例、胆石性胆嚢炎+総胆管結石が2例、無石性胆嚢炎が3例であった。結果として、胆嚢内にドレナージチューブ留置できたのは8例(66.7%)、カニュレーション不可が3例(25%)、ドレナージチューブが胆嚢管を通過できず、断念した例が1例(8.3%)であった。カニュレーション不可であった3例うち、2例は胆石嵌頓なかったため胆管ドレナージ(ENBD)留置、1例は胆嚢管に結石嵌頓しており、PTGBDへ移行した。処置に伴う合併症として、膵癌の胆管浸潤を伴う1例にて、ガイドワーヤーによる胆管穿孔をきたした。ENGBD可能であった症例は全例で自覚症状の改善、laboratory dataの改善が得られた。急性胆嚢炎に対するENGBDの利点として、上記のようにPTGBDで問題となる点を考慮する必要がない点以外に、処置時に総胆管の評価・治療も同時に出来る点が挙げられ、総胆管結石合併例は良い適応であると思われた。問題点としては、処置の難度が高く、手技成功率や手技時間でPTGBDに劣ることや胆嚢管損傷の合併症が挙げられた。
Bibliography:P1-A2-2
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.86.0