経皮内視鏡的空腸瘻direct percutaneous endoscopic jejunostomy(D-PEJ)の造設、管理に関する検討

目的:経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)は、経口摂取困難な症例の長期栄養補給路として広く普及している。しかし、胃手術後のためPEGが不能である場合や、PEG施行後嘔吐や誤嚥のため使用できない場合がある。我々は、それらの症例に対し経皮内視鏡的空腸瘻造設術(D-PEJ)を施行してきた。D-PEJの造設手技や管理上の問題点について報告する。 方法:当院において平成16年5月より平成19年1月までに造設を試みたD-PEJ38例(平均年齢82.6±7.6歳、男17例、女21例)を対象とした。造設成功率、失敗の原因、合併症について検討した。またD-PEJ症例の長期管理における血中微量元素(Fe, Cu, Z...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 42
Main Authors 岩下, 雅秀, 林, 隆夫, 田上, 真, 前田, 晃男, 川出, 尚史, 河口, 順二, 畠山, 啓朗, 齋藤, 公志郎, 西脇, 伸二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.42.0

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Summary:目的:経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)は、経口摂取困難な症例の長期栄養補給路として広く普及している。しかし、胃手術後のためPEGが不能である場合や、PEG施行後嘔吐や誤嚥のため使用できない場合がある。我々は、それらの症例に対し経皮内視鏡的空腸瘻造設術(D-PEJ)を施行してきた。D-PEJの造設手技や管理上の問題点について報告する。 方法:当院において平成16年5月より平成19年1月までに造設を試みたD-PEJ38例(平均年齢82.6±7.6歳、男17例、女21例)を対象とした。造設成功率、失敗の原因、合併症について検討した。またD-PEJ症例の長期管理における血中微量元素(Fe, Cu, Zn, Se)およびビタミン濃度(ビタミンA, B12, E)についてPEG症例と比較検討した。 結果:38例の症例に対し、延べ40回のD-PEJを施行し、37例の造設に成功した。造設失敗例は施行中空腸が大きく移動して造設できなかった1例であった。また、2例では初回は適切な造設部位が見いだせず造設できなかったが、再施行にて造設し得た。造設手技に関連した合併症として、誤嚥性肺炎、皮下血腫、結腸誤穿刺、瘻孔感染、気腹、上腸管膜症候群を各1例ずつ認めた。慢性期の合併症として瘻孔周囲炎7例、誤嚥性肺炎6例、下痢4例、嘔吐3例を認めた。長期管理症例における微量元素およびビタミン濃度を表1に示す。D-PEJ群において血清銅および亜鉛濃度が有意に低値を示した。 考案:D-PEJもPEGと同様に、ほとんどの症例で造設可能であった。合併症の中では瘻孔周囲炎の頻度が高く、腸液や膵液の漏出による皮膚炎が原因と考えられた。D-PEJでも胃液などの嘔吐や誤嚥をきたし、胃液の排液を必要とする症例も認められた。また、長期栄養の問題として銅や亜鉛が低下する傾向にあり、それらの欠乏症状に注意する必要があると思われた。 結語:D-PEJはPEGと同様に施行可能である。造設後の管理は若干の工夫を要する。
Bibliography:1C18
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.42.0