直腸癌による播種性骨髄癌症に対してFOLFOXIRI/bevacizumab療法が有効であった1例

症例は62歳の女性で,腹膜播種陽性直腸癌に対する原発巣切除後,腰痛を主訴に来院した.来院時に播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome;以下,DICと略記)を発症していた.脊椎MRIと骨髄生検の結果から直腸癌による播種性骨髄癌症と診断し,救命目的にFOLFOXIRI/bevacizumab療法を導入した.導入後,腫瘍マーカーの著減を認め,3クールでDICを離脱し一時退院を果たした.しかし,全身状態の改善に乏しく,帰院後4クール目の投与前にせん妄症状が出現したため治療継続を断念し,緩和ケアに移行した.その後化学療法開始か...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 11; pp. 622 - 632
Main Authors 杉原, 洋行, 岡田, 俊裕, 吉村, 昂平, 吉田, 祐, 中右, 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.11.2023
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2022.0067

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Summary:症例は62歳の女性で,腹膜播種陽性直腸癌に対する原発巣切除後,腰痛を主訴に来院した.来院時に播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome;以下,DICと略記)を発症していた.脊椎MRIと骨髄生検の結果から直腸癌による播種性骨髄癌症と診断し,救命目的にFOLFOXIRI/bevacizumab療法を導入した.導入後,腫瘍マーカーの著減を認め,3クールでDICを離脱し一時退院を果たした.しかし,全身状態の改善に乏しく,帰院後4クール目の投与前にせん妄症状が出現したため治療継続を断念し,緩和ケアに移行した.その後化学療法開始から約3か月後に癌死した.大腸癌播種性骨髄癌症の予後は極めて不良であるが,緊急の化学療法が一時的だが有効性を示した.しかし,長期生存までは得られず,より迅速な治療介入の重要性が示唆された症例であった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2022.0067