24時間多チャンネルインピーダンスpH検査が胃癌術後の重症逆流性食道炎に対する外科的治療方針の決定に有用であった1例
症例は69歳の男性で,3年前前医にて胃癌に対しロボット支援下幽門側胃切除+Billroth I法再建を施行した.術直後より胸やけと胸痛のため摂食困難となった.症状は薬物療法抵抗性であり,内視鏡で重症食道炎を認め,当院を紹介受診した.24時間多チャンネルインピーダンスpH(以下,MII-pHと略記)検査では酸逆流時間率0%,液体逆流時間率23.4%であり,十二指腸液の逆流と診断した.保存的治療では根治不能のため腹腔鏡下にRoux-en-Y法への再吻合術を施行した.胃-空腸吻合部からY脚部の空腸-空腸吻合部までの距離は50 cmとした.手術時間414分,出血量200 mlであった.術前症状は改善し...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 11; pp. 577 - 583 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.11.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2022.0095 |
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Summary: | 症例は69歳の男性で,3年前前医にて胃癌に対しロボット支援下幽門側胃切除+Billroth I法再建を施行した.術直後より胸やけと胸痛のため摂食困難となった.症状は薬物療法抵抗性であり,内視鏡で重症食道炎を認め,当院を紹介受診した.24時間多チャンネルインピーダンスpH(以下,MII-pHと略記)検査では酸逆流時間率0%,液体逆流時間率23.4%であり,十二指腸液の逆流と診断した.保存的治療では根治不能のため腹腔鏡下にRoux-en-Y法への再吻合術を施行した.胃-空腸吻合部からY脚部の空腸-空腸吻合部までの距離は50 cmとした.手術時間414分,出血量200 mlであった.術前症状は改善し術後11日で自宅へ退院した.術後2か月での内視鏡で食道炎は消失していた.今回,我々は胃癌術後重症食道炎に対してMII-pH検査を行い治療方針を決定し,外科的治療が奏効した1例を経験したため報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2022.0095 |