診断・治療に単孔式腹腔鏡下手術が有効であった卵黄血管遺残によるイレウスの1例

症例は37歳の男性で,腹痛,嘔吐を主訴に受診した.腹部造影CTでイレウスと診断され入院したが,保存的治療で軽快した.開腹手術歴がないイレウスで,以前より腹痛を繰り返していたため,診断精査目的にて単孔式腹腔鏡下手術を行った.回腸末端より約40 cm口側の回腸から右内側臍ヒダにつながる索状物が見られ,これがイレウスの原因と考えられた.切除された索状物の術後病理組織学的検索で血管構造を認めたため卵黄血管遺残と診断した.本邦でのMeckel憩室を合併しない卵黄血管遺残症例の報告は極めてまれであり,腹腔鏡下手術での報告は本症例のみである.術前診断が困難なMeckel憩室を合併しない卵黄腸管遺残によるイレ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 11; pp. 719 - 725
Main Authors 小林, 弘典, 平野, 利典, 村尾, 直樹, 宮本, 勝也, 中井, 志郎, 坂下, 吉弘, 岡田, 健司郎, 横山, 雄二郎, 藤本, 三喜夫, 嶋本, 文雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2014
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2014.0009

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Summary:症例は37歳の男性で,腹痛,嘔吐を主訴に受診した.腹部造影CTでイレウスと診断され入院したが,保存的治療で軽快した.開腹手術歴がないイレウスで,以前より腹痛を繰り返していたため,診断精査目的にて単孔式腹腔鏡下手術を行った.回腸末端より約40 cm口側の回腸から右内側臍ヒダにつながる索状物が見られ,これがイレウスの原因と考えられた.切除された索状物の術後病理組織学的検索で血管構造を認めたため卵黄血管遺残と診断した.本邦でのMeckel憩室を合併しない卵黄血管遺残症例の報告は極めてまれであり,腹腔鏡下手術での報告は本症例のみである.術前診断が困難なMeckel憩室を合併しない卵黄腸管遺残によるイレウスに対して腹腔鏡下手術が有用であったので若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2014.0009