内ヘルニアによる腸閉塞で発症した空腸異所性膵の1例

症例は48歳男性で,持続する悪心,嘔吐を主訴に当院に紹介受診された.来院時,上腹部に圧痛を認めた.造影CTで空腸の腸閉塞および異所性膵が疑われ,入院後経鼻胃管を挿入して減圧した後,待期的手術の方針とした.術中所見ではトライツ靱帯から約5 cm遠位側の空腸に約3 cm大の腫瘍を認め,その約30 cm肛門側の腸間膜に癒着し,そこに空腸が入り込み腸閉塞を起こしている状態であった.癒着を切離して閉塞を解除した後,小開腹下に空腸部分切除術を行った.術後経過は良好で術後6日目に退院された.病理組織学的検査所見はHeinrich I型の異所性膵であった.症状を来す空腸異所性膵はまれであり,その多くは腸重積が...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 12; pp. 806 - 813
Main Authors 朴, 泰範, 川本, 裕介, 藤澤, 真義, 佐野, 薫, 伊藤, 雅, 岡部, 道雄, 河本, 和幸, 長久, 吉雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2014
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2014.0044

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Summary:症例は48歳男性で,持続する悪心,嘔吐を主訴に当院に紹介受診された.来院時,上腹部に圧痛を認めた.造影CTで空腸の腸閉塞および異所性膵が疑われ,入院後経鼻胃管を挿入して減圧した後,待期的手術の方針とした.術中所見ではトライツ靱帯から約5 cm遠位側の空腸に約3 cm大の腫瘍を認め,その約30 cm肛門側の腸間膜に癒着し,そこに空腸が入り込み腸閉塞を起こしている状態であった.癒着を切離して閉塞を解除した後,小開腹下に空腸部分切除術を行った.術後経過は良好で術後6日目に退院された.病理組織学的検査所見はHeinrich I型の異所性膵であった.症状を来す空腸異所性膵はまれであり,その多くは腸重積が原因とされている.症状を呈した小腸異所性膵についての文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2014.0044