陳旧性両側顎関節脱臼の1例

全身麻酔下に整復術を施行した陳旧性両側顎関節脱臼の1例を報告する。患者は初診時年齢55歳の女性で,家人が顔貌の変化に気が付くも訴えがないため診察は受けなかった。10か月後に近医歯科を受診した際,顎関節脱臼を指摘され紹介元の某総合病院歯科を受診した。同院で徒手整復を試みるも整復できず,新潟大学医歯学総合病院口腔外科を紹介により受診した。両側顎関節部に対して,局所麻酔下に徒手整復を試みるも下顎頭は下顎窩に復位できなかったため,全身麻酔下に整復術を施行した。筋弛緩した状態でも下顎頭は下顎窩に容易に復位しなかったため,両下顎角部を切開して下顎骨に金属線を通し,下顎枝を下方に牽引しながら復位を図った。下...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 24; no. 1; pp. 28 - 33
Main Authors 小林, 正治, 齊藤, 力, 高田, 佳之, 小野, 由起子, 泉, 直也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2012
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.24.28

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Summary:全身麻酔下に整復術を施行した陳旧性両側顎関節脱臼の1例を報告する。患者は初診時年齢55歳の女性で,家人が顔貌の変化に気が付くも訴えがないため診察は受けなかった。10か月後に近医歯科を受診した際,顎関節脱臼を指摘され紹介元の某総合病院歯科を受診した。同院で徒手整復を試みるも整復できず,新潟大学医歯学総合病院口腔外科を紹介により受診した。両側顎関節部に対して,局所麻酔下に徒手整復を試みるも下顎頭は下顎窩に復位できなかったため,全身麻酔下に整復術を施行した。筋弛緩した状態でも下顎頭は下顎窩に容易に復位しなかったため,両下顎角部を切開して下顎骨に金属線を通し,下顎枝を下方に牽引しながら復位を図った。下顎頭を下顎窩内に戻すことはできたが,前方位となったため,顎間固定用スクリューを介して顎間固定を行い,オトガイ帽を併用し牽引した。復位後4週目に顎間固定を解除した。その後も再脱臼や顎関節症状は認めず,切歯部開口量は37 mmまで回復したが,X線写真において下顎頭の骨変形を認めた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.24.28