咬合違和感症候群の診療フローチャートの提案

歯科医師は,日常診療で咬合の違和感を愁訴とする患者に対して,口腔顎顔面領域の診察と検査から,咬合状態,補綴装置,顎関節などの異常を見いだし,それらを除去することで症状の改善に繋げている。しかし,一部で,他覚所見が見つからない患者や,原因と判断した異常を除去しても改善できない症例に遭遇し難渋している。一方,患者のなかには,複数の歯科医療機関で治療を受けても緩解せず,苦悩している者がいる。こうした症例は,Phantom bite syndromeやOcclusal dysesthesiaなどと呼ばれてきた。また,日本補綴歯科学会は,2013年により広い概念として咬合違和感症候群(Occlusal...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 28 - 37
Main Authors 澁谷, 智明, 依田, 哲也, 和気, 創, 和気, 裕之, 松香, 芳三, 石垣, 尚一, 山口, 泰彦, 島田, 淳, 玉置, 勝司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.08.2022
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.34.28

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Summary:歯科医師は,日常診療で咬合の違和感を愁訴とする患者に対して,口腔顎顔面領域の診察と検査から,咬合状態,補綴装置,顎関節などの異常を見いだし,それらを除去することで症状の改善に繋げている。しかし,一部で,他覚所見が見つからない患者や,原因と判断した異常を除去しても改善できない症例に遭遇し難渋している。一方,患者のなかには,複数の歯科医療機関で治療を受けても緩解せず,苦悩している者がいる。こうした症例は,Phantom bite syndromeやOcclusal dysesthesiaなどと呼ばれてきた。また,日本補綴歯科学会は,2013年により広い概念として咬合違和感症候群(Occlusal discomfort syndrome)を提唱した。これは,咬合違和感を呈する複数の疾患の総称である。また,狭義と広義に仮分類されており,狭義が前述の概念に類似している。今回われわれは,はじめに,咬合違和感症候群の患者をbio-psycho-social modelの観点から捉えるための,病態分類(2021),専用問診票および2軸評定票(2021)を作成した。そして,これらの情報を基に,一般歯科医師が咬合違和感症候群患者を診療する際の指針となる,「咬合違和感症候群の診療フローチャート(2021)」を作成した。フローチャートの目的は,診療指針として用いることで,患者の健康向上に資することである。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.34.28