内視鏡的止血術困難な出血性胃潰瘍を伴った直腸癌穿通によるFournier壊疽の1例
症例は61歳の男性で,臀部痛を主訴に前医を受診後,直腸腫瘍を認め精査加療目的に当院へ紹介受診した.会陰部は悪臭を伴う広範囲な腫脹・壊死を認め,直腸診では全周性腫瘍を触れた.血液検査では炎症反応高値,腫瘍マーカー高値を認めた.造影CTでは下部直腸に全周性壁肥厚と皮下軟部組織への空気像の波及,胃内への造影剤漏出を認め,上部消化管出血を伴う直腸癌穿通によるFournier壊疽が疑われた.内視鏡的止血術を試みるも,多量の血餅によって視野確保が困難であり,内視鏡的止血術は困難と判断し開腹手術へ移行した.広範胃切除術・横行結腸人工肛門造設術,debridementを施行した.第12病日に腹会陰式直腸切断術...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 10; pp. 862 - 868 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2014.0164 |
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Summary: | 症例は61歳の男性で,臀部痛を主訴に前医を受診後,直腸腫瘍を認め精査加療目的に当院へ紹介受診した.会陰部は悪臭を伴う広範囲な腫脹・壊死を認め,直腸診では全周性腫瘍を触れた.血液検査では炎症反応高値,腫瘍マーカー高値を認めた.造影CTでは下部直腸に全周性壁肥厚と皮下軟部組織への空気像の波及,胃内への造影剤漏出を認め,上部消化管出血を伴う直腸癌穿通によるFournier壊疽が疑われた.内視鏡的止血術を試みるも,多量の血餅によって視野確保が困難であり,内視鏡的止血術は困難と判断し開腹手術へ移行した.広範胃切除術・横行結腸人工肛門造設術,debridementを施行した.第12病日に腹会陰式直腸切断術を施行し,術後経過良好にて薬物療法科へ転科となった. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2014.0164 |