右胃大網動脈を用いた冠動脈バイパス術後の十二指腸gastrointestinal stromal tumorに対して腹腔鏡下十二指腸部分切除を施行した1例
症例は69歳の男性で,健診の上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚にdelleを伴わない粘膜下腫瘍を認めた.精査でgastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)の診断となり手術目的に当科紹介となった.腹腔鏡下十二指腸部分切除の方針としたが,右胃大網動脈を用いた冠動脈バイパス術後であったため後腹膜アプローチで開始した.小腸間膜付着部より結腸間膜剥離を開始し,十二指腸・膵臓が十分に露出するまで後腹膜から授動した.腫瘍被膜を損傷しないように同病変に沿って十二指腸壁を全層切開し標本を摘出した.十二指腸壁欠損部は有棘縫合糸による連続縫合で閉鎖した.十二指腸前面・結腸間...
Saved in:
Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 10; pp. 689 - 695 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.10.2021
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0185 |
Cover
Summary: | 症例は69歳の男性で,健診の上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚にdelleを伴わない粘膜下腫瘍を認めた.精査でgastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)の診断となり手術目的に当科紹介となった.腹腔鏡下十二指腸部分切除の方針としたが,右胃大網動脈を用いた冠動脈バイパス術後であったため後腹膜アプローチで開始した.小腸間膜付着部より結腸間膜剥離を開始し,十二指腸・膵臓が十分に露出するまで後腹膜から授動した.腫瘍被膜を損傷しないように同病変に沿って十二指腸壁を全層切開し標本を摘出した.十二指腸壁欠損部は有棘縫合糸による連続縫合で閉鎖した.十二指腸前面・結腸間膜背側にドレーンを留置して手術を終了した.術後経過は良好で術後7日に退院となった.右胃大網動脈を用いた冠動脈バイパス術後の十二指腸GISTに対して,後腹膜アプローチによる腹腔鏡下手術は有用と考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0185 |