感染性大動脈瘤と感染性大動脈解離が疑われた高齢の3症例

症例1は88歳, 女性. 高血圧, 糖尿病と腎不全あり. 透析カテーテル感染よりMRSA敗血症を発症し, 造影CTにて胸部弓部大動脈瘤に不均一な造影効果とGaの集積を認めた. 抗生物質による治療に反応せず, 第86病日に突然喀血し永眠. 剖検の結果から感染性弓部大動脈瘤による仮性動脈瘤破裂と診断された. 症例2は83歳, 男性. 前立腺癌, 狭心症と閉塞性動脈硬化症あり. 胸痛とCRP上昇持続のため行った造影CTにて胸部下行大動脈瘤と動脈壁の不整, 不均一な造影効果を認めた. 短期間での急速な瘤径増大と同部位のGa集積より感染性大動脈瘤と診断. 複数回施行した血液培養は陰性であった. 症例3は...

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Published in心臓 Vol. 42; no. 10; pp. 1307 - 1313
Main Authors 田中, 旬, 青山, 里恵, 井上, 将至, 坪光, 雄介, 五條, 理志, 石川, 妙, 鳥羽, 梓弓, 油井, 慶晃, 沢辺, 元司, 原田, 和昌, 内田, 文, 武田, 和大, 桑島, 巌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2010
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.42.1307

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Summary:症例1は88歳, 女性. 高血圧, 糖尿病と腎不全あり. 透析カテーテル感染よりMRSA敗血症を発症し, 造影CTにて胸部弓部大動脈瘤に不均一な造影効果とGaの集積を認めた. 抗生物質による治療に反応せず, 第86病日に突然喀血し永眠. 剖検の結果から感染性弓部大動脈瘤による仮性動脈瘤破裂と診断された. 症例2は83歳, 男性. 前立腺癌, 狭心症と閉塞性動脈硬化症あり. 胸痛とCRP上昇持続のため行った造影CTにて胸部下行大動脈瘤と動脈壁の不整, 不均一な造影効果を認めた. 短期間での急速な瘤径増大と同部位のGa集積より感染性大動脈瘤と診断. 複数回施行した血液培養は陰性であった. 症例3は79歳, 男性. 腎癌術後, パーキンソン症候群および重度の起立性低血圧にて血圧管理不良であった. 発熱と胸背部痛あり, 造影CTにて胸部下行大動脈解離および切迫破裂と診断し, 厳重な降圧を行った2カ月後, 再び発熱と炎症反応上昇あり, 造影CTにて大動脈に不均一な造影効果をもつ不整な壁肥厚を認め, 感染性大動脈解離が疑われた. 保存的治療にて症例2および3は生存退院となった. 感染性大動脈瘤や感染性大動脈解離は稀ではあるが早期診断および治療が必要な疾患である. 高齢者においては血液培養が陰性でもこれらの疾患が合併している可能性は少なくないため, 常に鑑別の必要があると考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.1307