リピオドールリンパ管造影および選択的胸膜癒着術が有効であった食道癌サルベージ術後難治性乳糜胸の1例

症例は69歳の男性で,胸部中下部食道癌cT3N2M0 cStage IIIに対し,根治的化学放射線療法を施行した.7か月後局所再発を来しサルベージ手術を施行した.術後4時間から経腸栄養を開始したところドレーン排液が白濁し,乳糜胸と診断した.経腸栄養を中止,TPNを開始し,リピオドールリンパ管造影で右上縦隔に2か所の漏出部位を特定した.オクトレオチド投与と胸膜癒着では排液の減少は得られなかった.術後17日目に右上縦隔の漏出部位へカテーテルを誘導し,選択的に胸膜癒着を行ったところ排液が減少し,術後23日目に胸腔ドレーンを抜去した.今回,我々はリンパ管造影で漏出部位を特定し,選択的胸膜癒着で治癒した...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 11; pp. 659 - 667
Main Authors 篠田, 雅幸, 川上, 次郎, 佐藤, 洋造, 稲葉, 吉隆, 安部, 哲也, 浅野, 智成, 川合, 亮佑, 清水, 泰博, 植村, 則久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2014
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2013.0269

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Summary:症例は69歳の男性で,胸部中下部食道癌cT3N2M0 cStage IIIに対し,根治的化学放射線療法を施行した.7か月後局所再発を来しサルベージ手術を施行した.術後4時間から経腸栄養を開始したところドレーン排液が白濁し,乳糜胸と診断した.経腸栄養を中止,TPNを開始し,リピオドールリンパ管造影で右上縦隔に2か所の漏出部位を特定した.オクトレオチド投与と胸膜癒着では排液の減少は得られなかった.術後17日目に右上縦隔の漏出部位へカテーテルを誘導し,選択的に胸膜癒着を行ったところ排液が減少し,術後23日目に胸腔ドレーンを抜去した.今回,我々はリンパ管造影で漏出部位を特定し,選択的胸膜癒着で治癒した症例を経験した.乳糜胸の選択的胸膜癒着は,効果的な治療法と考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2013.0269