予防的直腸切断術後に会陰部創より発癌を認めたクローン病の1例

症例は50歳の女性で,22歳時に小腸大腸型のクローン病(Crohn’s disease;以下,CDと略記)と診断された.34歳時に直腸膣瘻,直腸狭窄,肛門周囲膿瘍を認め,下行結腸人工肛門を造設されるも改善を認めず,48歳時に当科紹介となり,直腸切断術を伴う大腸全摘術,永久回腸人工肛門造設術を行った.術前の検査では,腫瘍マーカーは正常であり,切除標本の病理検査でも悪性所見は認めず,persistent sinusを合併することもなく会陰部創は閉鎖した.術後2年目より会陰部創に硬結を認め,疼痛を訴えるようになり,腫瘍マーカーの上昇を認め,MRIにて膣背側から会陰方向に内部不均一な腫瘤性病変を認めた...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 11; pp. 921 - 927
Main Authors 内野, 基, 平田, 晃弘, 後藤, 佳子, 池内, 浩基, 蝶野, 晃弘, 坂東, 俊宏, 佐々木, 寛文, 堀尾, 勇規, 井出, 良浩, 廣田, 誠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2017
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2016.0227

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Summary:症例は50歳の女性で,22歳時に小腸大腸型のクローン病(Crohn’s disease;以下,CDと略記)と診断された.34歳時に直腸膣瘻,直腸狭窄,肛門周囲膿瘍を認め,下行結腸人工肛門を造設されるも改善を認めず,48歳時に当科紹介となり,直腸切断術を伴う大腸全摘術,永久回腸人工肛門造設術を行った.術前の検査では,腫瘍マーカーは正常であり,切除標本の病理検査でも悪性所見は認めず,persistent sinusを合併することもなく会陰部創は閉鎖した.術後2年目より会陰部創に硬結を認め,疼痛を訴えるようになり,腫瘍マーカーの上昇を認め,MRIにて膣背側から会陰方向に内部不均一な腫瘤性病変を認めた.全身麻酔下に腫瘍の生検施行したところ粘液癌と診断され,膣後壁合併切除を伴う腫瘤摘出術を施行した.CDの予防的直腸切断術後の発癌症例は,極めてまれであり報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2016.0227