一次性大動脈十二指腸瘻を伴う腹部大動脈瘤破裂の1例

一次性大動脈腸管瘻は腹部大動脈瘤の約0.91%に合併する極めてまれな病態だが,死亡率は40~87%と高率である.今回一次性大動脈十二指腸瘻を伴う腹部大動脈瘤破裂の1例を経験したので報告する.症例は83歳の男性で,搬送約1週間前より吐下血が出現,搬送当日に一過性意識消失を認め救急搬送された.搬送時の血液検査ではHb:8.7 g/dlと貧血を認めた.腹部造影CTでは,腎動脈下に最大径約90 mmの腹部大動脈瘤を認め,十二指腸と連続性のある遊離ガス像を大動脈瘤内に認めた.以上より,腹部大動脈瘤破裂に伴う大動脈十二指腸瘻と診断し,緊急で人工血管置換術および十二指腸上行脚の瘻孔部に対し十二指腸部分切除術...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 12; pp. 750 - 757
Main Authors 櫻井, 克宣, 西居, 孝文, 岡田, 拓真, 西村, 潤也, 日月, 亜紀子, 久保, 尚士, 黒田, 顕慈, 玉森, 豊, 青松, 直撥, 前田, 清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.12.2022
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2022.0007

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Summary:一次性大動脈腸管瘻は腹部大動脈瘤の約0.91%に合併する極めてまれな病態だが,死亡率は40~87%と高率である.今回一次性大動脈十二指腸瘻を伴う腹部大動脈瘤破裂の1例を経験したので報告する.症例は83歳の男性で,搬送約1週間前より吐下血が出現,搬送当日に一過性意識消失を認め救急搬送された.搬送時の血液検査ではHb:8.7 g/dlと貧血を認めた.腹部造影CTでは,腎動脈下に最大径約90 mmの腹部大動脈瘤を認め,十二指腸と連続性のある遊離ガス像を大動脈瘤内に認めた.以上より,腹部大動脈瘤破裂に伴う大動脈十二指腸瘻と診断し,緊急で人工血管置換術および十二指腸上行脚の瘻孔部に対し十二指腸部分切除術を施行した.術後47日目に転院した.大動脈十二指腸瘻の治療は原則手術であるが,十二指腸瘻に対する術式に一定した見解はない.本疾患は早期診断が重要で早期に適切な外科的治療を行えば救命可能と考える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2022.0007