潰瘍性大腸炎に併発した神経内分泌細胞癌の2例

本邦の炎症性腸疾患患者は年々増加し,長期経過例に合併する発癌が問題となっている.潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;以下,UCと略記)に合併する発癌症例の組織型は,頻度的には,高分化型腺癌が最も多いが,低分化の癌合併の報告も進行癌を中心にみられる.今回,神経内分泌細胞癌(neuroendocrine carcinoma;以下,NECと略記)を合併したUC症例を2例経験したので報告する.UCの長期経過例に対するサーベイランスの普及により,早期癌が増加し予後は改善しているが,NECの症例は2例とも早期に遠隔転移を生じ,予後は極めて不良でそれぞれ術後16か月,15か月で永眠となった....

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 10; pp. 838 - 848
Main Authors 宋, 美紗, 内野, 基, 後藤, 佳子, 平田, 晃弘, 蝶野, 晃弘, 池内, 浩基, 坂東, 俊宏, 佐々木, 寛文, 辻村, 亨, 堀尾, 勇規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2017
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2016.0215

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Summary:本邦の炎症性腸疾患患者は年々増加し,長期経過例に合併する発癌が問題となっている.潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;以下,UCと略記)に合併する発癌症例の組織型は,頻度的には,高分化型腺癌が最も多いが,低分化の癌合併の報告も進行癌を中心にみられる.今回,神経内分泌細胞癌(neuroendocrine carcinoma;以下,NECと略記)を合併したUC症例を2例経験したので報告する.UCの長期経過例に対するサーベイランスの普及により,早期癌が増加し予後は改善しているが,NECの症例は2例とも早期に遠隔転移を生じ,予後は極めて不良でそれぞれ術後16か月,15か月で永眠となった.症例1のように早期発見は困難な症例も存在するが,dysplasiaが検出された症例は手術を強く勧めるべきだと考える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2016.0215