再肝切除後長期無再発生存を得られた肝臓原発肉腫様癌の1例

症例は69歳の女性で,右側胸部痛を主訴に前医受診,炎症反応上昇と肝胆道系酵素異常を指摘され当院紹介となった.CTにて肝外側区域に乏血性で早期輪状濃染を伴う60 mm大の腫瘍を認め,肝内胆管癌の診断で腹腔鏡下肝左葉切除を施行した.病理組織学的検査所見では,腫瘍は紡錘形細胞で構成され,腺管構造や肝細胞への分化傾向を認めなかった.肝臓原発の肉腫様癌と診断した.S-1による補助化学療法を施行したが,術後4か月で肝前区域に56 mm大の腫瘍が出現し再発と診断した.Gemcitabine+cisplatin療法を6か月施行し腫瘍の縮小が得られたため,肝腹側前区域+左尾状葉切除術を施行した.その後補助化学療...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 11; pp. 629 - 636
Main Authors 雨宮, 隆介, 柳, 在勲, 早津, 成夫, 上野, 万里, 原, 彰男, 津和野, 伸一, 江頭, 有美, 三戸, 聖也, 石塚, 裕人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.11.2019
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2018.0076

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Summary:症例は69歳の女性で,右側胸部痛を主訴に前医受診,炎症反応上昇と肝胆道系酵素異常を指摘され当院紹介となった.CTにて肝外側区域に乏血性で早期輪状濃染を伴う60 mm大の腫瘍を認め,肝内胆管癌の診断で腹腔鏡下肝左葉切除を施行した.病理組織学的検査所見では,腫瘍は紡錘形細胞で構成され,腺管構造や肝細胞への分化傾向を認めなかった.肝臓原発の肉腫様癌と診断した.S-1による補助化学療法を施行したが,術後4か月で肝前区域に56 mm大の腫瘍が出現し再発と診断した.Gemcitabine+cisplatin療法を6か月施行し腫瘍の縮小が得られたため,肝腹側前区域+左尾状葉切除術を施行した.その後補助化学療法を施行せずに初回肝切除後55か月,再肝切除後45か月経過し無再発生存中である.肝臓原発の肉腫様癌はまれで治療に難渋することも多い.集学的治療が奏効した症例を経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2018.0076