皮下腫瘤を契機に診断したLynch症候群による胆管癌の1例
Lynch症候群はミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列変異を原因とする常染色体優性遺伝性疾患で,大腸,子宮内膜などの関連癌を若年で高率に発症する.症例は42歳の女性で,皮下腫瘤を主訴に当科紹介となった.精査にて未分化胆管癌の皮下転移,多発肝転移(T3N0M(+):Stage IVb)と診断した.29歳で大腸癌の既往があり,第2近親者内に若年大腸癌,子宮内膜癌,脳腫瘍の発がん患者を6名認めており,改訂ベセスダガイドラインに合致した.Microsatellite instability(以下,MSIと略記)検査でMSI-Hと判定し,遺伝子検査にてMLH-1のExon6のintron領域の病的変異を認...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 12; pp. 924 - 928 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2013
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2013.0031 |
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Summary: | Lynch症候群はミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列変異を原因とする常染色体優性遺伝性疾患で,大腸,子宮内膜などの関連癌を若年で高率に発症する.症例は42歳の女性で,皮下腫瘤を主訴に当科紹介となった.精査にて未分化胆管癌の皮下転移,多発肝転移(T3N0M(+):Stage IVb)と診断した.29歳で大腸癌の既往があり,第2近親者内に若年大腸癌,子宮内膜癌,脳腫瘍の発がん患者を6名認めており,改訂ベセスダガイドラインに合致した.Microsatellite instability(以下,MSIと略記)検査でMSI-Hと判定し,遺伝子検査にてMLH-1のExon6のintron領域の病的変異を認めた.得られた遺伝情報をもとに,3名の変異保持者を確認した.Lynch症候群は患者本人だけでなく,家系全体も関連腫瘍に対するサーベイランスの対象となるため,確定診断は意義があると思われた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2013.0031 |