膵頭十二指腸切除術後の膵尾部癌に対する膵体尾部切除時に術中蛍光造影法を用い膵体部を一部温存しえた1例

膵頭十二指腸切除術後の異時性の膵尾部癌に対する膵体尾部切除術において,indocyanine green(以下,ICGと略記)を用いた術中蛍光造影法により残膵の血流評価を行い,膵体部を一部温存しえた1例を報告する.症例は74歳の男性で,66歳時に膵頭部癌に対し膵頭十二指腸切除術を受け,術後胆管空腸吻合部出血に対し右肝動脈にTAEを施行された.術後8年目の検査にて腫瘍マーカーの上昇を認め,精査の結果から膵尾部癌を疑われ,手術を施行した.腫瘍は膵尾部末端にあり,膵体部を一部温存することを目的に術中ICG蛍光造影法を用いた.腫瘍より膵体部側の切離予定付近の脾動脈をクランプし,ICG静注により膵体部へ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 49; no. 11; pp. 1150 - 1156
Main Authors 裏川, 直樹, 原田, 直樹, 布施, 知佐香, 森本, 大樹, 西村, 透, 金田, 邦彦, 酒井, 哲也, 谷, 孝文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2016
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2015.0210

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Summary:膵頭十二指腸切除術後の異時性の膵尾部癌に対する膵体尾部切除術において,indocyanine green(以下,ICGと略記)を用いた術中蛍光造影法により残膵の血流評価を行い,膵体部を一部温存しえた1例を報告する.症例は74歳の男性で,66歳時に膵頭部癌に対し膵頭十二指腸切除術を受け,術後胆管空腸吻合部出血に対し右肝動脈にTAEを施行された.術後8年目の検査にて腫瘍マーカーの上昇を認め,精査の結果から膵尾部癌を疑われ,手術を施行した.腫瘍は膵尾部末端にあり,膵体部を一部温存することを目的に術中ICG蛍光造影法を用いた.腫瘍より膵体部側の切離予定付近の脾動脈をクランプし,ICG静注により膵体部への造影効果および,温存予定の膵体部の血流をリアルタイムに評価し,虚血のないことを確認したうえで膵切除を行った.術後膵液漏を認めたが,経過良好にて退院となった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2015.0210