播種性骨髄癌症に対しmFOLFOX6/panitumumab療法が著効しPET-CTで標的病変が全て消失したS状結腸癌の1例
症例は67歳の女性で,発熱,腹痛を主訴に来院した.来院時の血液検査で播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome;以下,DICと略記)を発症していた.下部消化管内視鏡検査とPET-CTによりS状結腸癌による播種性骨髄癌症と診断した.Oncologic emergencyと判断し,救命目的にmFOLFOX6療法を導入した.開始後1クールでDICから離脱し,panitumumabを追加併用した.治療開始約6か月(化学療法12クール終了時点)でPET-CTを再検したところ,原発巣と大動脈周囲リンパ節,および全身の骨に見られた強...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 11; pp. 831 - 838 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.11.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0031 |
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Summary: | 症例は67歳の女性で,発熱,腹痛を主訴に来院した.来院時の血液検査で播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome;以下,DICと略記)を発症していた.下部消化管内視鏡検査とPET-CTによりS状結腸癌による播種性骨髄癌症と診断した.Oncologic emergencyと判断し,救命目的にmFOLFOX6療法を導入した.開始後1クールでDICから離脱し,panitumumabを追加併用した.治療開始約6か月(化学療法12クール終了時点)でPET-CTを再検したところ,原発巣と大動脈周囲リンパ節,および全身の骨に見られた強い集積が全て消失しており,転移巣に関しては臨床的完全奏効と診断した.極めて不良な臨床経過を辿ることが多い大腸癌播種性骨髄癌症において,化学療法により臨床的完全奏効を得た症例は自験例が本邦初であった. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0031 |