胃癌によるpulmonary tumor thrombotic microangiopathyを生存中に診断しえた1例

症例は69歳の男性で,1か月前から労作時呼吸困難が出現し,急激に増悪してきたため当院を受診した.肺梗塞を最も疑い入院したが,造影CTで肺梗塞は否定された.一方で胃周囲および傍大動脈リンパ節の腫大を認めたため.上部消化管内視鏡検査を施行し,胃癌と診断し,さらに肺動脈血液病理細胞診にて,胃癌の病理組織学的検査所見と類似した腺癌細胞を認めたため,臨床経過とあわせ,胃癌によるpulmonary tumor thrombotic microangiopathy(以下,PTTMと略記)と診断した.非侵襲的陽圧換気療法による保存的療法にて症状は軽快し,退院後外来にてS-1を投与した.投与開始後3か月間症状な...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 10; pp. 817 - 824
Main Authors 大島, 貴, 利野, 靖, 金澤, 周, 林, 茂也, 菅野, 伸洋, 國﨑, 主税, 今田, 敏夫, 益田, 宗孝, 吉川, 貴己, 稲山, 嘉明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2015
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2014.0096

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Summary:症例は69歳の男性で,1か月前から労作時呼吸困難が出現し,急激に増悪してきたため当院を受診した.肺梗塞を最も疑い入院したが,造影CTで肺梗塞は否定された.一方で胃周囲および傍大動脈リンパ節の腫大を認めたため.上部消化管内視鏡検査を施行し,胃癌と診断し,さらに肺動脈血液病理細胞診にて,胃癌の病理組織学的検査所見と類似した腺癌細胞を認めたため,臨床経過とあわせ,胃癌によるpulmonary tumor thrombotic microangiopathy(以下,PTTMと略記)と診断した.非侵襲的陽圧換気療法による保存的療法にて症状は軽快し,退院後外来にてS-1を投与した.投与開始後3か月間症状なく外来通院していたが,再度PTTMと考えられる呼吸状態の急性増悪が出現し,症状出現より10時間後に死亡した.胃癌によるPTTMを生存中に診断しえた本症例は極めてまれであり報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2014.0096