就寝時の子守歌の歌いかけと乳幼児の睡眠問題との関連

本研究の目的は,日本の家庭における養育者による就寝時の子守歌の歌いかけと子どもの睡眠問題との関連を検討することであった。web 調査により得られた満1ヶ月から満35ヶ月の乳幼児を養育している男女300 名(回答者:男性164名,女性134名,平均年齢36.18歳,SD = 6.34歳)の回答を対象に分析が行われた。その結果,全体の27.67% の家庭で就寝時に養育者が子どもに対して子守歌の歌いかけを行っていた。多変量ロジスティック回帰分析を行ったところ,就寝時に子守歌を使用していること(AOR = 1.84,95%CI:1.03-3.38),保育園もしくは認定こども園に通園していること(AOR...

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Published in睡眠と環境 Vol. 19; no. 1; pp. 9 - 16
Main Authors 山本, 隆一郎, 石井, 生海
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本睡眠環境学会 30.06.2025
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ISSN1340-8275
2758-8890
DOI10.60259/jsleepenvi.19.1_9

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Summary:本研究の目的は,日本の家庭における養育者による就寝時の子守歌の歌いかけと子どもの睡眠問題との関連を検討することであった。web 調査により得られた満1ヶ月から満35ヶ月の乳幼児を養育している男女300 名(回答者:男性164名,女性134名,平均年齢36.18歳,SD = 6.34歳)の回答を対象に分析が行われた。その結果,全体の27.67% の家庭で就寝時に養育者が子どもに対して子守歌の歌いかけを行っていた。多変量ロジスティック回帰分析を行ったところ,就寝時に子守歌を使用していること(AOR = 1.84,95%CI:1.03-3.38),保育園もしくは認定こども園に通園していること(AOR = 1.94,95%CI:1.17-3.26),養育者と別室で就寝していないこと(AOR = 0.34,95%CI:0.12-0.85)が,養育者が評価する子どもの睡眠問題があることと5% 水準で有意に関連していた。本研究の結果は,これまでのレビュー論文の見解や多くの養育者の素朴な信念に反するものであったと考えられる。ただし本研究は横断研究であり,因果関係は不明である。今後は縦断的な検討や子守歌の内容や提示方法の詳細を含めた交絡変数の更なる検討が必要である。
ISSN:1340-8275
2758-8890
DOI:10.60259/jsleepenvi.19.1_9