長期臥床患者における多量の喀痰に対して竹筎温胆湯が奏効した2例
気管カニューレおよび人工呼吸器を装着している長期臥床患者においては,喀痰吸引を頻繁に必要とすることがあり,患者の苦痛につながっている。今回,多量の喀痰を伴う長期臥床患者に竹筎温胆湯エキスを投与し奏効した2症例につき報告する。症例1は44歳男性で,蘇生後脳症にて気管カニューレが挿入されており,夜間に多量の白色喀痰を認めていた。症例2は90歳女性で,急性硬膜下血種術後,意識障害が回復せず長期に人工呼吸器を装着しており,痰がらみによるむせが原因で人工呼吸器アラームが頻回に鳴っていた。両症例において,竹筎温胆湯を処方後,喀痰量および喀痰吸引の回数が著明に減少し,また,繰り返す気道および尿路感染症も減少...
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| Published in | 日本東洋医学雑誌 Vol. 75; no. 4; pp. 298 - 303 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本東洋医学会
2024
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0287-4857 1882-756X |
| DOI | 10.3937/kampomed.75.298 |
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| Summary: | 気管カニューレおよび人工呼吸器を装着している長期臥床患者においては,喀痰吸引を頻繁に必要とすることがあり,患者の苦痛につながっている。今回,多量の喀痰を伴う長期臥床患者に竹筎温胆湯エキスを投与し奏効した2症例につき報告する。症例1は44歳男性で,蘇生後脳症にて気管カニューレが挿入されており,夜間に多量の白色喀痰を認めていた。症例2は90歳女性で,急性硬膜下血種術後,意識障害が回復せず長期に人工呼吸器を装着しており,痰がらみによるむせが原因で人工呼吸器アラームが頻回に鳴っていた。両症例において,竹筎温胆湯を処方後,喀痰量および喀痰吸引の回数が著明に減少し,また,繰り返す気道および尿路感染症も減少した。抗炎症・鎮咳去痰・精神安定作用等を持つ竹筎温胆湯による漢方治療は,長期臥床患者において,喀痰コントロールおよび感染防御に有用である可能性が示唆された。 |
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| ISSN: | 0287-4857 1882-756X |
| DOI: | 10.3937/kampomed.75.298 |