真菌胞子の吸入と肺動脈壁肥厚の形成について

我々はこれまでに黒色真菌の一種であるStachybotrys chartarum の胞子を経気管的に反復投与したマウスで肺動脈壁の著しい肥厚が形成され、肺高血圧が惹起されることを確認してきた。今回の研究はS. chartarum 以外にも同様の病変を惹起する真菌があるかどうかを検討することを目的とした。被検菌にはAspergillus fumigatus (Af) を5株、Cladosporium cladosporioides (Cc)、Penicillium citrinum (Pc) を各1株ずつ用い、各菌株の胞子懸濁液をマウスに4週間かけて計6回経気管的に反復投与した。投与菌量は1回あ...

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Published inProgram and Abstracts of Annual Meeting of the Japanese Society for Medical Mycology Vol. 52; p. 158
Main Authors 豊留, 孝仁, 亀井, 克彦, 渡辺, 哲, 渋谷, 和俊, 永吉, 優, 落合, 恵理, 佐藤, 綾香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医真菌学会 2008
The Japanese Society for Medical Mycology
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ISSN0916-4804
DOI10.11534/jsmm.52.0.158.0

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Summary:我々はこれまでに黒色真菌の一種であるStachybotrys chartarum の胞子を経気管的に反復投与したマウスで肺動脈壁の著しい肥厚が形成され、肺高血圧が惹起されることを確認してきた。今回の研究はS. chartarum 以外にも同様の病変を惹起する真菌があるかどうかを検討することを目的とした。被検菌にはAspergillus fumigatus (Af) を5株、Cladosporium cladosporioides (Cc)、Penicillium citrinum (Pc) を各1株ずつ用い、各菌株の胞子懸濁液をマウスに4週間かけて計6回経気管的に反復投与した。投与菌量は1回あたり1×104spores/mouseとし、CcとPcでは1×105及び1×106spores/mouseの投与も試みた。この結果、1×104spores/mouseのAf投与群の一部の株で肺動脈壁の肥厚が確認された。Ccを大量に投与した場合にも同様の病変が形成された。Pcではこのような病変は形成されなかった。いずれも肺内で胞子は発育しなかった。また、肝、腎、脾に病理組織学的変化は認められなかった。現在、株数を増やして更に検討を進めているところである。
Bibliography:P-115
ISSN:0916-4804
DOI:10.11534/jsmm.52.0.158.0