コンセプトマップを用いた自己評価に関する研究―イオン概念の学習を中心にして

コンセプトマップを用いて児童・生徒に自己評価をさせる方法は,これまでにも報告されてきた。学習前・後にコンセプトマップを書かせることは行われていても,生徒にその変容を意識化させ同一紙面内に書かせることは,これまでに行われてきていない。本研究は,学習前・後に書いたコンセプトマップを生徒自身に比較させ,同一紙面内で意識化する簡便な方法を開発し,その有効性を検討した。その結果,以下の二点が明らかになった。第一に,この方法は認知的及び情意的両側面を自己評価させるのに有効であること。第二に,学習前・後の変容を自分の目で確認できるため,たとえイオン概念のような理解が難しい内容であっても,学習後の生徒の印象は...

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Published in日本理科教育学会研究紀要 Vol. 39; no. 3; pp. 105 - 116
Main Authors 市川, 直貴, 堀, 哲夫, 松本, 孝, 鈴木, 富美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本理科教育学会 1999
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ISSN0389-9039
2433-0140
DOI10.11639/formersjst.39.3_105

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Summary:コンセプトマップを用いて児童・生徒に自己評価をさせる方法は,これまでにも報告されてきた。学習前・後にコンセプトマップを書かせることは行われていても,生徒にその変容を意識化させ同一紙面内に書かせることは,これまでに行われてきていない。本研究は,学習前・後に書いたコンセプトマップを生徒自身に比較させ,同一紙面内で意識化する簡便な方法を開発し,その有効性を検討した。その結果,以下の二点が明らかになった。第一に,この方法は認知的及び情意的両側面を自己評価させるのに有効であること。第二に,学習前・後の変容を自分の目で確認できるため,たとえイオン概念のような理解が難しい内容であっても,学習後の生徒の印象はきわめて好意的であること。上記の結果を踏まえて,以下の二点を提案した。第一に,この方法によって書かせた内容を見ながら,生徒に対して教師が個別指導に利用できること。第二に,学習が学習者自身のために行われるものであることを重視すれば,生徒が自己評価した内容を生徒自身に採点させるのに利用できること。
ISSN:0389-9039
2433-0140
DOI:10.11639/formersjst.39.3_105