急性心筋梗塞に対する抗血小板療法・抗凝固療法中に発生した腸腰筋血腫の1例

症例は,74歳男性。平成22年7月7日より胸痛が持続し,翌日,当院を受診した。心電図・血液・心エコー検査にて,急性心筋梗塞と診断した。初診時は,経過から自然再開通と考えられたため,抗血小板療法・抗凝固療法を開始し,待機的心カテの方針とした。治療開始3日目より,左鼠径・大腿部痛が出現し,CT・MRIで左腸腰筋血腫を認めた。抗血小板剤・抗凝固剤の中止をしたが,Hb14.1から,9.8g/dlと貧血が進行したため,輸血治療を必要とした。その後,安静治療のみで,疼痛,左腸腰筋の腫脹は徐々に改善した。心臓については,安静に近い状態でも胸痛があるため,抗血小板剤を段階的に2種類内服させ,冠動脈CTと心臓カ...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 61; no. 4; pp. 636 - 642
Main Authors 大野, 恒夫, 櫻井, 綾子, 大河内, 昌弘, 勝野, 哲也, 神谷, 泰隆, 山本, 陽一, 岩間, 糾, 後藤, 章友, 浅田, 馨, 長縄, 博和, 服部, 孝平, 郷治, 滋希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 30.11.2012
日本農村医学会
Subjects
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.61.636

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Summary:症例は,74歳男性。平成22年7月7日より胸痛が持続し,翌日,当院を受診した。心電図・血液・心エコー検査にて,急性心筋梗塞と診断した。初診時は,経過から自然再開通と考えられたため,抗血小板療法・抗凝固療法を開始し,待機的心カテの方針とした。治療開始3日目より,左鼠径・大腿部痛が出現し,CT・MRIで左腸腰筋血腫を認めた。抗血小板剤・抗凝固剤の中止をしたが,Hb14.1から,9.8g/dlと貧血が進行したため,輸血治療を必要とした。その後,安静治療のみで,疼痛,左腸腰筋の腫脹は徐々に改善した。心臓については,安静に近い状態でも胸痛があるため,抗血小板剤を段階的に2種類内服させ,冠動脈CTと心臓カテーテル検査を行ない,左前下行枝近位部 (#6) の90%狭窄に対してBare Metal Stentを留置した。その後,安静度拡大でも胸痛の再燃はなく,腸腰筋血腫の再発はなく,血腫は自然に吸収された。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.61.636