多発肝転移を伴う十二指腸カルチノイドに対して二期的肝膵同時切除を行い長期生存が得られた1例

近年,カルチノイド腫瘍に対しソマトスタチンアナログなどの治療法が導入されているが,手術による完全切除が最も有効な治療手段であることは変わりない.両葉多発肝転移に対しても可能であれば外科的切除が勧められる.今回,我々は両葉多発肝転移を伴う十二指腸乳頭部カルチノイドに対し二期的肝膵同時切除を行い,長期無再発生存を得た1例を経験した.症例は61歳の男性で,近医で肝腫瘍を指摘され肝生検を行ったが診断がつかず経過観察となっていた.2年後に肝腫瘍の増大を認め当院紹介となり,上部消化管内視鏡で十二指腸乳頭部に腫瘤を認め,生検の結果カルチノイドであった.まず肝左葉部分切除と右門脈結紮術により肝左葉肥大を図り,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 4; pp. 306 - 313
Main Authors 堤, 綾乃, 白石, 祐之, 尾下, 陽大, 石野, 信一郎, 西巻, 正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2015
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2014.0098

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Summary:近年,カルチノイド腫瘍に対しソマトスタチンアナログなどの治療法が導入されているが,手術による完全切除が最も有効な治療手段であることは変わりない.両葉多発肝転移に対しても可能であれば外科的切除が勧められる.今回,我々は両葉多発肝転移を伴う十二指腸乳頭部カルチノイドに対し二期的肝膵同時切除を行い,長期無再発生存を得た1例を経験した.症例は61歳の男性で,近医で肝腫瘍を指摘され肝生検を行ったが診断がつかず経過観察となっていた.2年後に肝腫瘍の増大を認め当院紹介となり,上部消化管内視鏡で十二指腸乳頭部に腫瘤を認め,生検の結果カルチノイドであった.まず肝左葉部分切除と右門脈結紮術により肝左葉肥大を図り,その後拡大肝右葉切除術と幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.現在術後約8年で無再発生存中である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2014.0098